日本でのコロナの感染爆発が現実のものになり、マスコミ報道が伝える今後の予測が急速に悲観的なものになってきた。昨日29日のNHKの記事では、東京都の新規感染者数が8月中旬に一日5000人超となり、8月末には1万人超になるという見通しが示されている。本日30日のモーニングショーでは - 私の見間違いかもしれないが - 厚労省アドバイザリーボードの最新の予測として、8月6日の時点で新規感染者数が6000人とか1万人になるという衝撃のグラフがパネルに掲げられていた。一日毎に厳しい予測に変わっている。 いずれの試算値もべースは西浦博によるもので、第5波をめぐるコロナ論壇を西浦博が完全に主導する環境となっている。その西浦博の推計では、東京都では8月10日に自宅療養の数が3万人となるそうだ。すでに東京都の保健所のコロナ対応業務はパンク状態になり、自宅待機中の患者へのケアが十分にできない実情を北区の保健所長がテレビで訴えていた。春の大阪の惨事が再来する危機が間近に迫っている。大量の人間が、右手に健康保険証を握りしめたまま、自宅で肺炎で苦しんで死ぬ。 危機が迫っているのはわれわれで、インドやインドネシアのように、病院で治療を受けられずに自宅で死ぬのはわれわれだ。われわれとは、ワクチン未接種の日本国民である。未曾有の危機が迫っているのに、政府やマスコミの人間の表情や口調に全く危機感がなく、自宅療養3万人という地獄図を前に平然としていられるのは、彼らがすでに接種を終えているからだ。自分の身に降りかかる厄災や恐怖ではないからである。 和久田麻由子や桑子真帆がヘラヘラと五輪特番で公共の電波をオキュパイし、NHKの夜9時のニュースが15分間で粗略に打ち切られ、タレントと女子アナが東京五輪万歳ショーで一日中騒ぎまくることができるのは、彼らがみなワクチン接種済みで恐いものなしの上級国民様だからに違いない。コロナで自宅療養者が何万人出ようと、自宅での死者が何百人出ようと、彼らの意に介するところではなく、取材して報道しなければ事件でも何でもないのだ。彼らマスコミにとって大事なのは、菅義偉とIOCが開催強行した東京五輪が「成功した」ことであり、「成功」を印象づけして既成事実を作ることである。それがNHKを始めとするマスコミの神聖な任務だ。… … …(記事全文3,720文字)
世に倦む日日
田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)