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世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

安倍晋三の「事績」の今後 - アベノミクスと青バッジ運動の神話と誑惑の崩壊

■国葬は失敗に終わった。安倍晋三の神格化は失敗した。安倍晋三を神格化しようとする政治は、全く逆の結果に終わった。本来、国葬を仕掛けた側の思惑からすれば、国葬が終わって臨時国会が開幕する現時点は、9条改憲のモメンタムが最高潮に高まり、神となった安倍晋三の遺志を実現すべく、保守派のエネルギーが(ヤマトの波動砲発射前のような)絶頂状態に達していなければならなかった。国葬の目的は、安倍晋三を神とすることで9条改憲のを神聖化し、それを国民の絶対的課題として定置し、異論を完全に潰し、発議への経路を固めることだった。 しかし、結果は逆に出て、臨時国会は統一教会問題で自民党が攻められる防戦の場と変わっている。10月になっても内閣支持率は下落傾向が続き、Yahooトップに上がるネットのマスコミ記事は岸田政権叩きばかりだ。改憲発議の政局の詰めどころではなく、台湾有事に向けた防衛論議と意気発揚どころではない。おそらく、集中審議でもまともな答弁ができず、立往生とななって審議が紛糾し、内閣支持率はさらに下がるだろう。週刊誌が新しい疑惑を掘り出し、壺議員と壺閣僚のグロテスクな前科が告発され、ワイドショーで拡散されて政権に打撃を与えて行くだろう。 ■それでも野党には力がないから自民党政権は安泰、というのが田崎史郎らマスコミ論者の常套句であり、ネット右翼が掲示板で開き直る際の根拠として撒いた安心理論だったのだけれど、少し状況は変わっている。具体的に、今回、左派野党側は力をつけた。その点を看取できる。27日の国葬反対デモは全国規模で行われていて、ここまで市民の運動が可視的に盛り上がったのは7年前の安保法制時以来だ。安保法制の政治に敗北した後、左派野党側は混迷を続け、選挙でも幾度も挫折、反転攻勢の契機を掴めなかった。政治の力を示し、主導権を握る場面が一度もなかった。 だが、今回、8月9月と2か月間にわたってマスコミ世論調査の数字を変え、安倍国葬支持を少数派に追い込むことに成功している。国葬の政治の押し合いに勝った。反対運動の盛り上がりが世論を動かし、国葬反対派の勝利となった。国葬を仕掛けた岸田文雄を窮地に追い詰め、政権崩壊も遠からずという展望が立つまでの状況に至らせている。久しぶりに左派がタッグオブウォーに勝った。この事実は、マスコミ報道は大きく言挙げせず、認識する者も少ないが、日本の政治全体を分析する観点からすれば意味は小さくない。国葬反対運動を展開した側は自信を持ったはずだ。
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