17日、総裁選告示日の夜の報ステを見ていたら、早くも4候補がスタジオに並んで公開生討論を演じる企画が組まれていた。初めて野田聖子が政見を披露する機会でもあった。討論の半ば、気になるやり取りがあり、候補者が他の候補者に質問をぶつけて政策を聴く部分で、岸田文雄が野田聖子に振り、中国に対する安保外交政策の何如を問う場面があった。唐突な感が強く、何でこんな質疑に持ち込むのだろうと不自然に思って見ていたら、野田聖子の応答がまた意外で、自民党議員の言説とは思えない超ハト派の意見が飛び出し、テレビの前で狼狽する気分にさせられた。 どう答えたかは報知が取り上げて書いている。だが、この記事は要約が不十分で、実際の内容はもっと強烈だった。うろ覚えだが、憲法9条とか非戦の立場とか、そんな言辞も発されていた気がする。趣旨として、72年の日中共同宣言が原則だと言わんばかりの立場表明で、あまりにラディカルな踏み込みに、一体何事が起きたのだろうと面食らわされた。しかも不思議だったのは、この野田聖子の「親中」発言に対して、高市早苗を含めた3人が噛みつかず、素知らぬ顔で素通りさせたことである。 その瞬間、私は何が起きているのかを直観し、壮大なやらせ芝居を確信し、誰がそのシナリオを書いているかを察知した。野田聖子から、こんな平和主義外交論を聞いたことはないし、ハト派の範疇という認識はない。その実績もない。出陣式のとき、横に立って花を添えていたのは、国会で「八紘一宇」を称揚した極右の三原じゅん子ではないか。三原じゅん子は選択的夫婦別姓に反対している。明らかに今回の総裁選での野田聖子の位置づけと振る舞いはフェイクだ。芝居だ。演出の作為があり、配役が設計され、監督の指示に従って野田聖子が演技している。 リベラル政治家のキャストを与えられて、「弱者」だ「子ども」だという政策アジェンダを訴求し宣伝している。その目的は、自民党内にタカ派からハト派までの左右の幅があり、立憲民主党が主張しているような政策軸があるが如きイメージを粉飾するためだ。自民党の多様性と懐の深さを強調し、印象工作し、虚構を信じ込ませ、自民党のプリファレンスを引き上げるためだ。野党の持ち味を消し、野党を潰すために設定されたキャラクターだ。中国に対する自民党のメッセージという意味もあるだろう。… … …(記事全文2,798文字)
