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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

石破茂・戦後戦没者追悼式の「反省」を巡る賛否炎上を考える~過剰なる反省も過剰なる肯定も避け「まっとうな戦争認識」の形成に向けて~

今年のお盆は、いつもの法事や五山の送り火に加えて、戦後80年の節目ということで、「私の戦後80年談話」を雑誌「正論」(https://x.com/SF_SatoshiFujii/status/1956848292857548937)で公表するなど、いつもと違う特別なことも行いましたが、やはり一番印象に残ったのは、15日の敗戦の日の「全国戦没者追悼式」にて、石破が総理大臣の立場で式辞を述べそこで「反省」の弁を13年ぶりに述べたということでした。

 

当方はこの報道を目にした時、誠に残念な気持ちに、そして深い義憤の念に駆られました。

 

この不埒は看過するわけにはいかぬ、ということで、お盆休みのただ中ではありましたが『石破総理の全国戦没者追悼式における「反省」表明行為は、先の大戦の戦没者を冒涜する「言語道断」な言動である』(https://foomii.com/00178/20250815212032141995)という記事を本メルマガの場にて改めて公開し、Xでこの記事を紹介しつつ下記のようにツイートいたしました。

 

「先の大戦は100%負ける間違った戦争だったという信念を持つ石破総理がかの戦いを(銃後も含めて)戦いそして亡くなった方々を追悼する場にて総理として「反省」を表明しました。これが如何に多くの戦没者を冒涜し国益を大きく毀損する許し難き振る舞いであるのかを解説しました。」

https://x.com/SF_SatoshiFujii/status/1956335774502469700

 

この敗戦の日に、かの戦争について「反省」するのは、戦後80年の極めて当たり前の風景であり、戦後日本とはまさに「そんなもの」でしかないと言えばまさにその通りです。しかし、この件で特に重要なのは「戦後歴代総理は村山総理になるまで誰もこの「追悼式」では反省の弁を述べなかった、一時期村山総理から野田総理に至るまでは同式で「反省」の弁は述べられなかった」という一点です。

 

つまり自民党総裁は、これまで戦後(レジーム)における「反省すべし」という濃密な空気に抗い、長い間「反省」の弁は同式では表明してこなかった中、石破は戦後レジーム・戦後日本の世論の空気に棹さす。、ないしは阿(おもね)る格好で「反省」を同式で表明してしまったわけです。

 

誠にもって情け無き宰相なり…ということで上記ツイートをいたした次第です。

 

その結果、多くの賛同の声を多くの反発・批判の声が寄せられました。

 

あるアンケートによればこの石破による反省の弁に対する賛否は概ね拮抗しており、当方の今回のツイートに対する反応も賛否がちょうど拮抗する格好となったと言えるでしょう。


そうしたコメントを拝見していると、実に多くの方が、かの戦争について、天皇陛下について必ずしも適当とは言えないという実態が浮かび上がって参ります。

 

例えば、最もシンプルな当方に対する反発は、

 

「お前はあの戦いについて反省等一切しなくて良いってことなんだな?」

 

というものでしたが、そんな事は当方は一言も申し上げておりません。

 

そもそも当方の『私の戦後80年談話』でも明記している通り、そして、前回のメルマガ『石破総理の全国戦没者追悼式における「反省」表明行為は、先の大戦の戦没者を冒涜する「言語道断」な言動である』(https://foomii.com/00178/20250815212032141995)の中でも明記しているように、「反省」すべき点が皆無である筈は無く、反省すべきは反省すべきであることは論を待たないのです。

 

問題は、追悼の辞の中で反省を述べるのは、戦没者、とりわけ英霊に対して失礼ではないかという一点なのですが

… … …(記事全文3,753文字)
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