昨夜(8月3日)、KBS京都ラジオ『週刊クライテリオン 藤井聡あるがまま・ラジオ』で、令和8年熊本地震についてお話ししました。
(RADICO:https://radiko.jp/#!/ts/KBS/20260803213000)
今日は,ラジオでお話しした内容を改めてご報告いたします.
1. いま熊本で起きていること
7月28日16時27分、震度7の地震が発生しました。 震源は宇土市氷川町付近。熊本城下などでも震度6強が観測されています。
現時点で、
・死者 38名
・避難者 約8,500人
・避難所 200か所以上
・損壊家屋 約1,700棟
・断水 約4万5千世帯
道路の寸断、新幹線の運休も続いています。 そして今日は40度を超える猛暑が予想されていました。 地震そのものと「災害級の酷暑」が重なり、まさに二重の危機に直面している状況です。
2. 最も恐れなければならないのは「災害関連死」
ラジオの中では今回、特に「災害関連死」の問題を取り上げました。
この言葉は、かつてはほとんど意識されていませんでした。 しかし現実には、災害で亡くなる方の多くが「直接死」ではなく「関連死」なのです。
具体的な数字を見てください。
・2016年熊本地震 死者275人のうち、関連死225人(約82%)。直接死はわずか50人。
・能登半島地震 死者734人のうち、関連死506人(約7割)。直接死は約228人程度。
つまり、地震で家屋が倒壊して亡くなる方よりも、 地震によって日常生活が根底から破壊された後に亡くなる方の方が、はるかに多いのです。
関連死とは、 「地震がなければ普通に生きていられたはずの人が、避難生活や医療の中断、ライフラインの断絶などによって亡くなるケース」 を指します。
今回の熊本地震でも、すでに車中泊でガソリンが切れ、熱中症が疑われる関連死の第一号が報じられました。 過去の比率から推計すれば、直接死が40人前後なら、関連死は百数十人規模になる可能性もあります。 これは、決して「起こってから考える」話ではありません。 今この瞬間から、全力で防がなければならない問題です。
3. なぜ関連死は起きるのか
典型的なパターンは、次のようなものです。
- 持病や高齢で通院していた方が、病院に行けなくなり、避難所で体調を崩す
- 退院後のフォローが途切れ、適切な医療が受けられない
- 避難所のプライバシー不足や睡眠不足が続き、徐々に衰弱する
- 半壊した家に戻れず、車中泊を続けた結果、熱中症やエコノミークラス症候群を発症する
特に今回は猛暑が重なっています。 40度を超える中での避難生活は、それ自体が「災害」です。
4. 防げるはずの死を、どう防ぐか
関連死は「防ごうと思えば防げる」ものです。 なぜなら、それは「普通の暮らしができていれば起きなかった死」だからです。
具体的には、
1)広域避難の積極的な活用 近隣自治体や親戚・友人宅への一時避難を、ためらわず勧めてください。 「困った時はお互い様」です。
2)旅館・ホテルの避難所としての活用 すでに地元では動き始めていますが、さらに拡充が必要です。
3)在宅避難者へのケア 家が無事でも、断水や食料不足で苦しんでいる方は多数います。 ここへの支援が抜け落ちやすい
4)中央政府の徹底した支援 被災地の行政職員は、いま過重労働の極みにあります。 「被災者認定」「インフラ復旧」「避難所運営」「ボランティア配置」──すべてを彼らが担わねばなりません。 行政だけに任せきりにしては、絶対に持ちません。
個人レベルでできることも、決して小さくありません。 ご自身の仕事で何かできることはないか,熊本に地地震や親戚がおられないか,おられるなら何か支援できないかーーーそういった事を一つ一つ皆が考えるだけで、関連死が一つずつ,防げるようになっていくことになるかもしれません.
5. 最後に
ラジオでは、東日本大震災の後、被災地で何度もリクエストされた今井美樹さんの「Piece Of My Wish」をお届けしました。
「希望の欠片を集めて」 「すべてが崩れそうになっても、信じていたあなたのことを」
この歌が伝えるのは、「ただ頑張れ」という精神論ではありません。 厳しい状況の中でも、明日を迎える力を信じる、という静かな決意です。
前回の熊本地震では,災害関連死は、全体の7〜8割を占めます。 いままさに、その数字が問われている最中です。
被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。 そして、できる限りの支援を、行政・政府・個人が連携して進めていけるよう、強く願っています。
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