… … …(記事全文3,647文字)2024年、日本で生まれた子どもは68万6173人だった。
統計開始以来、初めて70万人を割った。9年連続の過去最少である。
同じ年、亡くなった人は160万5378人。過去最多だ。差し引きの自然減は91万9237人に達し、こちらも初めて90万人を超えた。
一年で、福井県や徳島県に匹敵する数の日本人が、増えるのではなく、消えた。
「高齢化のせい」では片付かない
高齢化が死者数が増える原因であることは否定しない。団塊の世代が後期高齢者に入り、多死社会は構造的に避けられない。
だが、ここまでの急激な死者数増は、高齢化だけで説明できるとは思わない。さらに問題なのは、急激な出生の崩落だ。当然ながら、出生の崩落は、高齢化では一切説明がつかない。
ここに、見過ごされてはならない数字がある。
国立社会保障・人口問題研究所が2017年に示した将来推計(出生中位)では、出生数が80万人を割るのは2033年、70万人を割るのは2046年とされていた。
現実はどうだったか。80万人割れは2022年。推計より11年早い。70万人割れは2024年。推計より、実に22年も早い。
国家が自らの未来を見積もった公式の推計を、現実が10年、20年という単位で置き去りにしている。これは「想定の範囲内で進む高齢化」とはまったく別の事態だ。誰も底を見通せていない、ということである。
増えているものが、ひとつだけある
日本人が年に90万人規模で減っていく一方、国内で増え続けているものがある。在留外国人だ。
2025年末時点で412万5395人。4年連続で過去最多を更新し、初めて400万人を突破した。前年から約36万人増。直近3年間での増加は100万人を超える。2012年末の約203万人から、13年でほぼ倍増した計算だ。
つまり、いま私たちが目にしている「総人口」の数字は、急減する日本人を、急増する外国人で部分的に埋め合わせた後の数字である。
私たちは、本当の数字を見ているのか。それとも、薄められた数字を見せられているのか。
これは日本だけの現象ではない。だが――
ここで、冷静に世界を見渡しておきたい。
少子化と人口減は、日本だけが狙い撃ちされた異常事態ではない。豊かな国に共通する構造的な現象だ。韓国の合計特殊出生率は2023年に世界最低の0.72まで落ち、首都ソウルは0.58。中国も2022年に過去最低の1.09を記録した。人口を維持する2.1を割る「少子化」は、いまや先進国の標準状態である。
日本の1.15は、その韓国の一歩手前を走る数字だ。日本は例外ではない。むしろ、この坂道の先頭集団にいる。
そして「足りない頭数を移民で埋める」という構図も、日本の専売特許ではない。イギリスは2023年3月までの一年で純移民が94万人という史上最高を記録し、アイルランドは2022年から2025年のわずか4年で52万人超が流入して人口が建国以来の最高水準に達した。
ここまでは、世界の共通現象だ。問題はその先にある。

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