… … …(記事全文2,932文字)●前代未聞の掟破り
すべての建屋等の耐震設計の基本となる「設計基準地震動」を恣意的に設定して安全審査を加速させる。さすがに、これはやり過ぎである。電力会社がよくやるのは、参照する活断層の長さを恣意的に短くすることだが、これとはちょっと訳が違う。内部通報により判明したというのも、原子力規制委員会は恥ずかしく思わなければならない。思い切り矮小化した地震動に基づき、関係者が議論していた光景を思い浮かべると、とんだ茶番だと笑いを誘ってしまう。
●経営陣は辞任 再稼働申請の取り下げ
林欣吾社長、勝野哲会長、水野明久相談役の引責辞任、そして浜岡3、4号機の再稼働審査申請の取り下げは当然のことだ。しかし林氏は、電力需要の増加や脱炭素などの解決のため、「浜岡原発の重要性は何ら変わらない」と述べ、往生際の悪さをあからさまにした。そもそも浜岡原発は、南海トラフ巨大地震の想定地震源の真上に立地されており、地震や津波の影響度は比較にならない。全て廃炉にすべきするのが妥当である。
福島第一原発事故の発生後、菅直人首相(当時)は、地震や津波のリスクが大きいという理由から浜岡原発を全面的に停止した。私は、この措置には矛盾があり、国内全ての原発を停止すべきだと考えていた。浜岡原発はその時から運転停止したままである。
●電力会社特有の「正当化理論」
中部電力は、外部の弁護士による調査委員会の報告書を公表した。不正の背景として再稼働のプレッシャーがかかる中、「社内に独自の正当化理論があった」という。つまり、「原発の安全性に問題はない」「原子力規制委員会の指摘や要請は不合理」と決めつけていた。「自分たちは正しいことをしている」との思い込みに基づき、ルールに反する行為を容認していた。さらに、不適切と認識しつつ実行する不正事例と比較して「自分たちは正しいという確信、信念すら持って実行している可能性がある」とし、根絶が困難とされる組織的病巣の存在が浮き彫りになった。
●身に覚えがある理論 原子力ムラというブラックボックス
