1月9日夜、しばき隊活動家の松本雅光が「車庫飛ばし」の容疑で警視庁公安部に逮捕され、TBSニュースで大きく報道されるという事件が起きた。車の車検更新時に虚偽の住所を届け出て違法に登録した罪で、これは、公安警察が極左団体を捜査摘発する際に使われる典型的な微罪逮捕の手法である。ネットの左翼しばき隊界隈に衝撃が走り、余韻は現在も続いている。誰もが無口になって静かだ。 遂に、しばき隊が中核派や革マル派と同じ「公安監視対象団体」になった。今回の事件報道は公安によるその宣告に他ならない。しばき隊がこうした処置を受けたのは初めてのことで、また、マスコミ報道で「しばき隊」と団体名を明記されたのも初めてのことと記憶する。公安警察は、「公共の安全と秩序」を使命とする国家権力機構で、辞書を引くと「国家の秩序維持と安全のために、反体制的運動や組織を取り締まる警察活動」と定義がある。 これまで、しばき隊の活動家やシンパの左翼は、しばき隊を反差別の正義の集団として自認し、社会的にも積極的に認められたリベラル派の運動体だと確信していた。朝日新聞や毎日新聞や神奈川新聞の論調は、実際にしばき隊をそのように位置づけ、健全で有益な社会運動として称賛的に紹介していた。今回の事件は、その様相を一変させるものであり、しばき隊に対する世間の評価と認識を一撃で転覆させるものである。意味と影響はきわめて大きい。 TBSニュースのアクセスランキングでは、この記事が半日以上も1位を続けるという事態が生じ、事件に対する世間の関心の高さが示された。その後、マスコミでも追加報道はなく、ネットでも誰も問題を分析・解説する動きがないが、しばき隊運動(=「3.11以後の社会運動」)にとってきわめて大きな打撃であり、ターニングポイントとなる深刻な挫折であることは明らかだ。… … …(記事全文3,070文字)