第28回共産党大会が14日から5日間の日程で熱海で始まった。今度の党大会の注目は、16年ぶりに綱領を改定し、中国を批判し、中国共産党との立場の違いを明確にした点である。綱領改定案では、中国共産党について「社会主義をめざす新しい探究が開始され」と積極的に位置づけてきた部分を削除、逆に、「いくつかの大国で強まっている大国主義・覇権主義は、世界の平和と進歩への逆流となっている」と批判する認識に変えた。 簡単に言えば、中国は社会主義ではない、中国共産党は社会主義をめざす政党ではないという見方に転換した。重要な変更であり、意味が大きいが、この問題について3点ほど意見を述べたい。まず第一に、この認識の定立は、理念としての社会主義を現実の社会主義から切り離し、理念の生命力を守ろうとするアプローチであり、その意味で基本的に歓迎したい。社会主義の理念を守ろうとしている。 中国共産党の現実は、およそ社会主義と呼べるものではなく、社会主義の理念とは遠い逸脱だと主張している。これは、社会主義の理念にコミットする者にとっては常識として肯首する判断であり、社会主義者にとって正論である。中国の今の現実が社会主義として説明されるのは容認できないことで、社会主義をめざすということが、中国のような国家や社会をめざすという意味になるのは耐えられない言説だ。 その立場から、中国の現実と社会主義の理念とを切り分け、本来の社会主義の価値と意義の救出を試み、社会主義の理想を再び掲げようとする日本共産党の態度は支持できる。ただし、日本共産党がそのように社会主義の理念を再生させようとするのなら、それでは社会主義とは何かが具体的に言われなくてはいけない。中国が社会主義でないとするなら、社会主義とはどういうビジョンなのだ。社会主義のモデルとはどのような中身なのか、それが対置される必要がある。 そうした社会主義像の理論的な模索や構築について、日本共産党はこれまできわめて消極的で、圧倒的に言葉が少なく、社会主義を考える取り組みに情熱を欠いていた。社会主義という言葉を宙に浮かせたまま放置し、抽象的な空語のままほったらかし、仏に新しい魂を入れようとしなかった。コンセプトをリデザインする努力をしなかった。右翼による悪辣なイデオロギー批判の攻勢にさらされるままにしていた。… … …(記事全文4,089文字)