先週5日の新型コロナウィルス対策本部会議で、マスクの転売禁止が表明された。10日に閣議決定して来週から施行の予定と言う。国民生活安定緊急措置法が適用され、違反した転売者には懲役5年以下、300万円以下の罰金が科される。この法律は第1次オイルショックのとき、1973年(田中内閣)に制定されたものだ。こんな法律があることなどすっかり忘れていた。この問題について少し言いたいことがある。 1か月ほど前のNHKニュースウォッチ9でこのマスクの転売問題が取り上げられたことがあった。その内容とほぼ同じ輪郭のテキストがネットに残っている。放送のメッセージは、マスクのネットでの転売を自由市場での市場行為として正当化するものだった。有馬嘉男と桑子真帆が、それを自由市場の行動として容認する態度で報道していたことを覚えている。放送を見たときは唖然として力が抜け、絶句したまま現在に至っている。 私はてっきり、消費者庁の意向を受けたNHKが転売の禁止を説き、転売者に対して社会的掣肘を加える報道をするだろうと想定し、規制をかけるべしという国民世論を興す役割を演じるのだろうと期待していたので、それとは全く逆の趣旨と結論になっているのを確認し、不愉快と絶望の気分でどうしようもなかった。2月5日付のNHKの記事から引用しよう。 「インターネットの通販サイトやフリマアプリにマスクを出品した人たちがNHKの取材に応じました。福岡県に住む30代の会社員の男性は新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの需要が高まっていることをニュースで知り、先月下旬、近所のドラッグストアやコンビニを回ってマスクを買い集めたということです。… … …(記事全文2,899文字)