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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

高市台湾有事発言「問題」はオールドメディア・朝日新聞による偏向報道の「帰結」であると言い得るこれだけの「合理的理由」

高市総理の台湾有事発言が日中外交の重大問題となっている。しかし高市発言は、台湾有事で米軍が来援した際に中国から攻撃を受けたなら、日本の存立が危ぶまれる状況になる事があるというものであり、従来の政府見解と何も変わらない。

 

しかしこれが問題化したのは中国の在阪総領事が、朝日新聞の「台湾有事の際に中国への武力行使を日本が容認したかの様な“誤解”を招く見出し」の報道を目にして激高、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない」とツイートしたのが全ての発端だ。

 

こちらのそのツイートだ。

 

ご覧の様に、在阪総領事XueJian氏は、朝日新聞の「高市首相、台湾有事『存立危機事態になりうる』 認定なら武力行使も」という見出しの記事を引用しつつ、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。」とXコメントしたのだ。

 

このXコメントで引用されている朝日記事の見出しを普通に読めば

 

「高市首相が、台湾有事がおこれば、それは存立危機事態になり得ると言った。そして、実際に存立危機事態になるということが「認定」されたら、自衛隊が出動して、中国に対して「武力行使」もする可能性が出てくる」

 

と解釈「可能」なものだ。ちなみに朝日は、事後にこの見出しを取り替える、という対応を取っているが、この総領事のXコメントは、明確に上記の「当初見出し」んついての素直な解釈に基づく物であることがわかる。

 

まず、「勝手に突っ込んできた」というのは、上記見出しの朝日記事を引用している以上、「中国が、一つの中国の原則に則り、国内問題に対処するために軍事力を行使する『台湾有事』と日本側が呼んでいる事態が生じたたら自衛隊が、中国に『武力行使』をするために『勝手』にやってくる」という事態を意味していると解釈せざるを得ない。

 

さもなければ、「勝手に突っ込んできた」という言葉の意味が全く不明になる。

 

なぜなら、朝日見出しが表現する諸概念の中で、「突っ込む」という言葉が対応するものは、「台湾有事に対する日本の武力行使」以外に何一つ存在しないからだ。そして、その突っ込むという行為が「勝手に」というのは、「台湾問題は一つの中国の基本理念上、あくまでも内政問題なのに、赤の他人の日本が「勝手に」しゃしゃりでてくる、という「解釈」以外に、朝日見出しが表現する諸概念の中には何一つ見いだせないからだ。

 

そうである以上、「その汚い首」という言葉は、「台湾有事」において武力行使するためにでてきた「自衛隊」の事を意味していると解釈可能である。したがってその汚い首を「一瞬の躊躇も無く斬ってやる」とは、中国軍の力で一瞬で何の躊躇も無く殲滅するのだということを暗示していると解釈できよう。

 

ただし、一般に「首」という存在は人間が所持するものである以上、朝日見出しが表現する諸概念の中で登場する唯一の人物である「高市首相」の首であると解釈する他無い。

 

つまり総領事は、台湾有事の際に、中国に対する武力行使の為に自衛隊を出動するという命令を下す「高市首相」の首が「汚い」ものであると誹謗した上で、その高市氏の首を一瞬の躊躇も無く切り落とす、つまり、殺害してやるという意味内容も暗示して見せた訳だ。

 

結果、日本政府は総領事発言に中国に抗議せざるを得なくなった。首相の殺害まで示唆されて無視すれば、日本政府の面子、国家の威信は地に落ちる事になるからだ。

 

ただし、中国としては…

… … …(記事全文3,579文字)
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