… … …(記事全文2,300文字)昨年、妻を殺害されて26年、その現場保存のために2000万円以上の家賃を払い続け、ビラ配りなど警察にも多大な協力をしてきた名古屋市の高羽悟さんの努力が報われ、容疑者が逮捕された。
殺到するマスコミの取材に丁寧に応え、こんなことを続けていたら身が持たないだろうにと心配した私だが、いったん収まった騒動が再び注目を集める結果となっている。
高羽さんの元同級生である安福容疑者は、10月末の逮捕直後こそ雄弁にしゃべり、犯行の事実を認める供述もしていたが、警察から検察に送検されてからは黙秘に転じた。
そのため11月から3か月の鑑定留置を経て3月 5日に殺人罪で起訴され、「被告」となった。
鑑定留置は「(高羽さんと)子育てに対する考え方が合わなかった」「手を握られ『こんなに会っていたら、結婚したくなる』などと言われた」など、妄想を交えて語る人物を起訴できるかどうか判断するための期間であったらしい。
それからしばらくして高羽さんは、安福被告に対し、損害賠償を求める民事訴訟を起こした。
これが高羽さんが再び注目を集めている理由だ。
そもそも殺人など重大犯罪の時効は2010年に撤廃されたが、それは高羽さんも属していた「宙(そら)の会」の活動によるところが大きい。
そして高羽さんの奥さんのケースは時効撤廃の恩恵に預かった第1号だったのである。
その使命感もあるのだろう、高羽さんは今度は民法において損害賠償請求の権利が20年で失われるという壁を打破すべく、実際に民事訴訟に挑んだということなのである。
高羽さんが遭遇した事件をおさらいしていて改めて思ったのは、男は性が絡んだ事象については途端に鈍感になるということだ。
安福被告の逮捕当日、「警察から今日逮捕します、誰だかわかりますか?」と聞かれ、「さあ?」
「高校の同級生です」
「えっ、まさか○○?」
「そうです」
名古屋から電車で2時間もかかる高羽さんの大学まで追いかけ、テニスコートで待ち伏せるという、安福被告のストーカーに近い行動を彼女の逮捕後に妹さんに指摘され、初めて思い出しているほどだ。
これが女の立場なら、忘れたくても忘れられない心の傷となるだろう。
結局のところ恋愛や性に関わる事象について、きちんと覚えておくほうが有利か否かが男と女では違うのではないだろうか。

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