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やっぱり地理が好き ~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

宮路秀作(地理講師&コラムニスト)

宮路秀作

やっぱり地理が好き #223:人類は「暴力」なしに再分配は可能か?

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やっぱり地理が好き 

~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

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第223号(2025年9月30日発行)、今回のラインアップです。

①世界各国の地理情報

~人類は「暴力」なしに再分配は可能か?~

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こんにちは。

地理講師&コラムニストの宮路秀作です。

日頃、周りの人たちからは「みやじまん」と呼ばれています。

今回で223回目のメルマガ配信となります。


公共空間をどのように扱うかは、その社会の成熟度を測るうえで非常にわかりやすい指標といえるのではないでしょうか。


なかでも公共トイレの綺麗さは、単なる清掃技術や施設管理の問題にとどまらず、人々の意識の反映として注目に値します。わたくしは以前から「他人の物を大切にできるか否か」という一点に、人間性の本質が表れると考えています。公共トイレはまさに他人が必ず使う空間であり、そこをどう扱うかは、その人がどれほど社会を意識しているかを端的に示すといえます。


日本の都市を歩けば、駅や商業施設のトイレが無料で、しかも比較的清潔に維持されていることに外国人は驚くそうです。海外の大都市ですら、トイレは有料である場合が多く、それでいて料金を取っても決して綺麗とは限りません。むしろ、床が濡れている、紙が散乱している、便座の使用をためらう、こうした光景のほうが一般的ではないでしょうか。だからこそ「日本のトイレは世界一」と持ち上げられるのですが、これは単なる自画自賛ではありません。利用者が「次に使う人」の存在を意識し、汚さずに出るという習慣を持っているからこそ可能になっているのです。


もちろん、日本の公共トイレが常に完璧に綺麗だと言うつもりはありません。駅の片隅や古い施設に行けば、管理が追いつかず不快な思いをすることもあります。しかし、平均的に見れば圧倒的に整っています。しかも清掃員が定期的に巡回する仕組みが確立され、社会全体が「綺麗であって当たり前」と感じる環境が根づいています。これが単なる経済力や技術力の問題ではなく、民度の反映であるとわたくしが考える理由です。


「トイレの綺麗さで国の民度を語るなんて拡大解釈だ」と反論する人もいるかもしれませんが、公共トイレ以上に公平な指標がほかにあるでしょうか? 道路や公園は行政の投資で整備できます。ですがトイレは人間が使った瞬間に汚れます。清掃員が入るまでの時間、その空間をどう保つかは利用者次第です。つまり、トイレは人々の「最小単位の公共性」を可視化する場なのです。


結局のところ、公共トイレの綺麗さは「他人を思いやる文化」が社会にどれほど根づいているかを示します。自分さえ良ければいいと考える人間が多い社会では、トイレはたちまち荒れます。次に使う人を意識できる社会では、清潔さが維持されます。トイレは小さな空間でありながら、その国の人間性を鏡のように映し出す場なのです。


それでは、今週も知識をアップデートして参りましょう。

よろしくお願いします!


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①世界各国の地理情報

~人類は「暴力」なしに再分配は可能か?~


人類の歩みを見渡すと、必ずといってよいほど「平和」と「暴力」は表裏一体の関係をなしてきました。


古代ローマの「パクス・ロマーナ」は、強大な軍事力による制圧と服従の上に築かれたものであり、決して自発的な平和ではありませんでした。ヨーロッパ近代の国民国家もまた、戦争と革命を繰り返す過程で誕生し、近代社会の「平和」は戦火と暴力の中からしか形作られませんでした。さらに視野を広げれば、中国の歴代王朝も同じです。漢の興亡、唐や明の盛衰は、大規模な農民反乱や軍事的征服を契機に始まり、暴力による転覆が新しい統治を生みました。平和は常に暴力に依存し、暴力はしばしば平和を正当化する言葉に包まれてきたわけです。


社会が豊かになると、必ずといっていいほど格差が生まれます。そして格差は不満を呼び、不満は暴力に転化します。フランス革命しかり、ロシア革命しかり、暴力による革命は歴史の常であり、そこには必ず「平等」と「正義」の名が掲げられました。

… … …(記事全文6,972文字)
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