… … …(記事全文7,884文字)"吉村発言"の余波がまだ続いている。吉村発言とは、当メルマガ7月29日号と8月5日号の各配信号で紹介した、日本維新の会・吉村洋文代表による付帯決議破りの発言である。言うまでもなく、付帯決議とは副首都法案に盛り込まれた文言のことだ。
副首都法案は当初、野党が「生煮えだ」などと批判し、審議することさえ拒んでいた。ただ、審議から採決へ至る条件として、ある文言を付帯決議に入れることを与党側に野党は求めた。その文言とは、統一地方選と住民投票の同日実施を見合わせることだった。
結果として付帯決議には、来年4月の大阪府知事選と大阪市長選、大阪府・市の各議員選の統一地方選と、大阪市廃止・特別区設置構想(いわゆる大阪都構想)の賛否を問う住民投票の実施は「選挙期間が重複しないよう最大限調整する」という文言が入ることになった。これによって一定の歯止めがかかると判断した野党は譲歩し、7月24日に副首都関連法案の採決に至った。最終的に副首都法案は参院本会議で賛成123票、反対121票の僅差で可決、成立した。
ところが吉村知事は同法案が可決された直後、「僕自身は(同日選を)目指していきます」と宣言したから与野党は唖然とし、それは怒りへと変わっていった。最大限調整どころか、最大限無視する暴挙に出たからだ。これには野党だけではなく、自民党の一部からも批判の声が沸き起こった。ある自民党の議員は維新の暴走を嘆いていた。
対して吉村は7月27日、「付帯決議は『できるだけ混乱を生じさせないように』という趣旨だと思う」と反論し、与野党の批判を意に介すこともなく「同日選を目指すという意思は変わらない」と強調。以後、成立した副首都法を武器に「副首都・大阪」をアピールし、住民投票で賛成多数になることを目指している。前回否決された「4区案」の区割りを採用し、古びてカビた都構想の新鮮味を出そうと必死になっている。
ところで、副首都を指定するのは内閣総理大臣である。副首都の要件としては人口や経済規模など一定のスケールを要する。副首都に指定されると規制緩和や税制優遇の対象になる。そのため、副首都法案が成立後、候補として手を挙げる自治体が増えてきた。ただし、首都直下地震などの大災害が発生したとき、東京と同時に被災する可能性がある地域は除外される。
成立した副首都法の付則には、政令市を廃止して特別区を設置した副首都は、その名称を「道府県」から「都」に変更できると明記している。大阪府の場合なら「大阪都」である。だが、副首都候補に手を挙げる自治体のうち特別区を目指している都市は大阪以外にない。つまり、都への名称変更を記した付則は大阪のためのものと言えるわけで、だからこそ野党らは「大阪ありき」「我田引水」「党利党略」と非難したのだ。
一方、この「大阪ありき」という批判に維新や関係者は過敏に反応している。大阪府以外にも北海道と愛知県、また群馬県や広島県、福岡県などが意欲を示していることから、「副首都の指定を目指す都市が数多く名乗りを上げた。『大阪ありき』という批判は的外れ」という反論を繰り広げている。

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