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鳥集徹(ジャーナリスト)

鳥集徹

密室で厚労省の職員は何を話したのか ~「新型コロナワクチン後遺症患者の会」会見の裏側~

「新型コロナワクチンの健康被害に対しても、法の下の平等が守られるべきであり、命の差別はあってはなりません」(新型コロナワクチン後遺症患者の会が厚生労働省に提出した「新型コロナウイルスワクチン接種後健康被害実態調査における要望書」2024年4月9日より)

 

2024年4月9日、「新型コロナワクチン後遺症患者の会」代表の木村さん、副代表の神谷さんが厚生労働省を訪れ、濱地雅一副大臣(衆議院議員・公明党)に要望書を提出するとともに、記者会見を行った。

 

紅麹サプリメントは問題の直後から次々に対策が取られ、メディアも大きく報道した。その一方で、新型コロナワクチンについてはどんなに健康被害の訴えが積み重なっても、いまだに十分な対応がとられておらず、当事者が置き去りになっている。「紅麹サプリメントによる健康被害問題との対応格差の是正を求める」というのが要望書の主旨だ。

 

患者の会の依頼を受けて、私も支援者として厚労省に同行し、記者会見では司会を務めた。濱地副大臣は木村さん、神谷さんの話に耳を傾け、形式的な返答ではあったが、それなりに向き合って対応してくれたと思う。

 

だが、非常に残念だったのが記者会見だった。会場には大石邦彦さんを中心とするCBCテレビの取材クルー、YouTuberの藤江成光さん、元産経新聞記者で弁護士の楊井人文さんという、コロナワクチンの問題を追及し続けてくれる、いつもの頼もしい顔ぶれが並んでいた。また、自腹でやってきた毎日放送(MBS)アナウンサーの上田崇順さん、月刊「文藝春秋」でワクチン後遺症の特集記事を手がけたジャーナリストの秋山千佳さんもいて、二人は熱心に木村さん、神谷さんの話を聞いていた。

 

しかし、それ以外に大手メディアの記者の姿が、ほとんど見当たらなかったのだ。武見敬三厚労大臣による日本版CDC(国立健康危機管理研究機構=JIHS)発足の記者会見と重なったとはいえ、木村さんは関西から、神谷さんは東海からわざわざ上京したのだ。コロナワクチンの被害についても報道してほしいと訴えているのに、なぜそれを無視するのだ。

 

しかも、幹事社を務めた某大手新聞の記者は会見中、スマホをいじって時間を潰しているように見えた。私は敢えて彼に「質問はないか」とふったが、質問どころか関心すらないようだった。健康被害の訴えをまともに聞こうとしない大手メディアの姿勢が、薬害の拡大を助長したのだ。私は非常な憤りと悔しさを覚えざるを得なかった。

 

実は、副大臣への要望書提出と記者会見の間に、もう一つ出来事があった。要望書の内容に対して、厚労省の職員が患者の会に回答する時間が設けられたのだ。副大臣室は合同庁舎の10階、記者会見室は9階だが、その時は1階の奥の会議室に案内された。報道関係者は入ることを許されなかったが、私は支援者ということで、厚労省の職員が並ぶ部屋に同席させてもらった。

 

患者の会が提出した要望は三つあった。それに対して、厚労省の予防接種課(厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課)の職員という女性が主に回答した。果たしてどんなことを言ったのか。簡略に再現したい(実際には「です、ます調」で話していたが、文字にすると冗長なので、「で、ある」調で記述した)。

 

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