… … …(記事全文3,415文字)高市政権の投資拡大路線と利上げは相反するか?という根源的な重要テーマに関して今回は記したい。マクロ経済学の基本原則(教科書的な理論)に照らせば明らかに整合性に課題がある。だから、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」と、日銀が進める利上げ路線は、一見すると水と油の関係に見える。財政はアクセルを踏み、金融はブレーキを踏む。
素朴な教科書的マクロ経済学の目で見れば、この二つの政策はまさに正面から衝突しているとしか言いようがない。利上げは企業の資金調達コストを押し上げ、投資のハードル・レートを引き上げる。政府がどれほど税制優遇や補助金で投資を呼び込もうとしても、金利の上昇がその効果を相殺してしまう。加えて、投資拡大のために国債発行を増やせば、長期金利の上昇とあいまって将来の利払い費が膨張し、財政の自由度そのものを蝕んでいく。景気を押し出す力と抑え込む力を同時に働かせるのだから、政策効果が減殺されるのは当然の帰結だろう。しかし、この矛盾は視点を変えた瞬間に、まったく違う顔を見せる。超低金利がいつまでも続く世界では、本来ならば市場から退場すべき生産性の低い事業や企業が、安価な資金によって生き永らえてしまう。いわゆるゾンビ企業の温存である。適度な利上げは、そうした企業や事業を淘汰し、そこに固定化されていた資本と労働力をAIや半導体、エネルギー安全保障といった成長分野へと解き放つ、いわば新陳代謝の装置として機能しうる。金利という「厳しい審査基準」が存在することで、単なる低利のばら撒きではなく、真に生産性向上が見込める投資だけが選別されて実行される。同時に、行き過ぎた円安や輸入インフレを利上げで抑えつつ、設備投資による生産性向上を通じて持続的な賃上げを実現するという、実質賃金を守るための循環を描くことも可能になる。つまり短期的な需要コントロールとしては相反していても、中長期的な産業構造の転換過程としては、それなりに筋の通ったロジックが成立するのである。
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