朝鮮時代の農地制度
李氏朝鮮を建国した李成桂は田制改革によって科田法を制定しました。この制度はそれまでの両班の私有地を国庫に返納させ、国有地と王有地及び少数の私田を除いてすべての田畑を公田として設定し、耕作農民は収穫量の10%に該当する農地1結当たり30斗を国家に納めるように制定しました。京畿道地域内の両班には職階序列に従い一定面積に対する徴収権を与えて税収入を国家の代りに受取るようにしました。
この科田法による新たな税制法では耕作農民が収穫量の10%だけを納付するという一見すると画期的な制度ですが、両班には税だけが入り、耕作者は何の権利も与えられず、耕作だけが許可され、相続及び売買などの私有権は許可されないという土地国有制の形態で、納税義務と労働だけが課せられる農奴となるものでした。
結負制 (けっぷせい) ⇒ 朝鮮独特の土地面積表示法
すべての土地を同一の周尺(周尺6尺を1歩、360歩を1里、30里を1息)で測量して,その地積の絶対数を肥沃度に応じて6等級に分けたもので1結は李朝後期で1等田の場合で約1.1ha、6等田だと約4.4haでした。「結」は農作物の収量の意味も合わせ持つ農地の表記法でした。
※朝鮮周尺 20.4cm
李朝末期になると両班や官僚による土地の併呑や侵食が公然と行われ、本来は官有地である駅屯土(公文書の逓伝・官物の運輸・公務をおびる官吏の往来宿泊等を便ずるために設けられた耕作地付きの交通運輸拠点)などの官有地の両班の私有地化などもありました。(そこを代々耕作する者は両班から耕作権を得ているものと誤解して併合後に紛争地になったりしました。)李朝も末期となり土地改革に乗り出します。
朝鮮全土で土地調査が始まったのは併合前の李朝末、光武年間のことです。併合後に日本が土地調査を始めたのではなく、朝鮮総督府による土地調査事業は日露戦争で中断していた乙未改革の継続事業でした。
※「宮嶋博史著 朝鮮土地調査事業史の研究 」 吉野誠 京都大学学術情報リポジトリ
土地調査事業は朝鮮半島で行われた日本の「地租改正」事業
土地所有者ではない耕作者が国家でもない両班に納租していた悪習を、土地所有者が「地税」を国家に支払うというあたり前の近代的制度に変える目的もありました。
これまでの結負法を使った量田の農地面積は239万9842町歩であったのに対し、収量に関係のない新しい土地調査方法にすることで測量面積が434万2091町歩に達しました。つまり登記上の土地が194万2249町歩(81%)も新規増加したわけです。
土地調査事業の結果、土地の収用などに不服のある自称所有者らの主張は高等土地調査委員会で審査され、大正9年までに受理した審査件数は2万148件でした。証明ができない土地の所有権は認められませんでした。当然ですが、無証明、自己申告だけで所有を認めると大変なことになります。
併合先の測量上の面積増加分、旧官有地の権利の無い耕作地の返還収納などを行政が国庫に収納し払い下げる行為に何の問題もありませんがあたかも問題でもあるかのように書く教科書執筆者の存在は生徒に間違った印象を与えることになり残念なことです。
※「ともに学ぶ人間の歴史」中学社会 学び舎 P202 平成27年検定合格 令和2年発行
韓国人のいう土地収奪は本当に無かったのでしょうか。
日本統治下の朝鮮で210坪以上の土地を所有して総督府に登記している朝鮮人が380万人以上もいるという当時の報道があります。毎度のことだが学校の近代史で習った授業の印象とは異なっています。
朝鮮人地主 3,802,072人
内地人地主 65,922人
外国人地主 1,465人※昭和4年1月30日付け 釜山日報
当時の朝鮮半島に朝鮮人家庭はどれくらいあったのかも見ておきましょう。人口がかなり増えた昭和11年の資料でも401万世帯です。しかも昭和4年の資料には210坪以下の地主数は含まれていません。朝鮮人があまねく土地を保有していていたとまでは言えないとしてもすべての朝鮮人家庭に行きわたる土地を朝鮮人が保有していたことだけは明らかです。
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