昨夜(24日)、NHKの7時のニュースに尾身茂が登場し、政府による新型コロナウィルス対策の基本方針が説明された。報ステなど他の報道番組でも横一列でダウンロードされた。その内容は、ここ1-2週間が感染症拡大を抑える瀬戸際だとして、次のことを国民に守るように要請している。(1)かぜや発熱などの軽い症状の場合は外出せず自宅で療養すること、(2)37度5分以上の発熱が4日以上続く場合は『帰国者・接触者相談センター』に電話して相談すること、 (3)高齢者や持病のある人は2日程度症状が続く場合には検査を許可するので相談せよ。要するに、先週出した「目安」の対策と同じで、中身は何も変わっていない。新しい内容は何も入っていない。少し違うのは、軽症者への対応を厳しくして、軽症者の自宅療養を徹底し、医療機関のリソースは重症者のみにあてがうことを強調したことだ。何が何でも検査は行わない。下々は棄民する。 尾身茂は良識派を思わせる風貌と経歴で、言葉も誠実な印象の専門家らしさを当初は漂わせていたので、期待してよい医官かと思っていたが、すっかり裏切られてしまった。御用学者のトップに就任し、政府の「目安縛り」を国民に説教している。政府の無策を正当化する旗頭になってしまった。残念であり、腹立たしくもある。弁解するつもりはないが、私が尾身茂を評価して持ち上げたのは、野党がこの人物を取り込んで、政府側に対抗する有識者会議を立ち上げてもらいたかったからである。 戦後の憲法問題研究会のような団体を設立する政治をドライブし、すなわち、宮沢俊義や我妻栄の役割を担って欲しかったからである。政治学を学んだ者は、憲法調査会と憲法問題研究会の歴史は周知の事柄であり、憲法問題研究会を動かした事務局の若き参謀が丸山真男だったことを知っている。丸山真男は、政府側に対して説得力で勝つキーマンは保守のこの二人だと狙いを定めた。… … …(記事全文2,753文字)