米軍が撤退すればすぐにタリバンが全土掌握し、傀儡政権を倒して政権を奪還するであろうことは、かなり前から推測できていたことだった。かなり前からというのは、10年くらい前からだ。アフガンには他に反政府勢力はなく、新興勢力もなく、反政府勢力の中での内紛と確執もなく、マスコミ報道を聞くかぎり、タリバンは勢力としてずっと健在で、辺境の山岳で粘り強く米軍と戦闘継続していたからである。屡々、都市でテロ攻勢をかけ、勢力が衰えてない状況を誇示し、民衆からも一定の支持を得ている実情を示唆していた。 今、20年続いたアフガン戦争が終わったのであり、米軍がタリバン軍に負けたのであり、米国がアフガニスタンに敗北したのである。ベトナム戦争と同じ構図と帰結だ。アフガン人は、20世紀にソ連の侵略を撃退して勝ち、21世紀にアメリカの侵略を撃退して勝ち、二つの超大国との戦争に勝利した。貧しい貧しいアフガン人が、どこの国の支援も得ることなく、孤立無援で戦争して、ハイテク軍事超大国のアメリカに勝利した。アメリカは220兆円の巨費を投じた戦争に負けた。 米軍の敗北は明確で決定的だった。駐留を延長しても結果は同じだっただろう。早いか遅いかの違いだけだ。アフガンから撤退しようと言い出したのは2代前のオバマで、08年の大統領選挙のときの公約だった。この公約が支持されてオバマは当選したのに、オバマは公約を破り、撤退せず逆に増派し、そのために支持者が幻滅して10年の中間選挙に負けた。なぜオバマが公約どおり撤退を実行できなかったかというと、撤退したら今回と同じ事態(敗走と崩壊)になったからである。 この時点で、アメリカの「テロとの戦争」は意味を失い、事実上、アメリカはアフガン戦争でタリバンに負けていた。後はいつ撤退するかの問題で、面子を守るためにそれを引き延ばしていただけだ。戦局は好転せず、思惑どおり進まず、駐留米軍の士気は落ちるままだった。傀儡政権の汚職と腐敗という問題は、カルザイの頃から言われていたことで、彼らは単なる米軍と欧米諸国の寄生虫に過ぎなかった。傀儡政権と政府軍はアフガン民衆の支持と信頼を全く得ていなかった。政府軍がタリバンと本気で戦闘した形跡が一度も見られない。真剣な作戦に出た記憶がない。… … …(記事全文4,115文字)
