横浜市長選。これほど大きな票差が出るとは予想してなかった。野党候補が勝つことはマスコミの情勢調査から明らかで、期待と余裕をもって22日夜の開票に臨んだが、まさかこれほどの大差の結果になるとは思わなかった。ネットの関心では、午後8時に当確が速報される「ゼロ打ち」があるかどうかが焦点になっていて、NHKにチャンネルを合わせて待機していたところ、果たして、大河ドラマの放送開始と同時にテロップが画面上に出現し、一瞬で小此木八郎の敗北が決定する成り行きとなった。 その後、NHKの出口調査が棒グラフで表示され、山中竹春がほとんどダブルスコアの勢いで小此木八郎に勝っていて、投票前数日間に怒濤のバンドワゴン現象が起きていたことが判明した。マスコミの政治記者も、政治評論家も、想定外の大差に驚いたに違いない。この結果に近い顛末になることを最初から確信していたのは、横浜の保守政治の内情を知り尽くした「ハマのドン」の藤木幸夫だけではないか。明らかに、横浜市民が菅義偉のコロナ対策にNoを突きつけた選挙だった。 選挙の意義と総括はシンプルにその一言につきる。菅義偉のコロナ対策の無策に対して横浜市民の不満が爆発し、渾身の一撃が放たれて炸裂した政治の瞬間だ。久しぶりに巨大な怒りが政治のエネルギーとなり、マグマが噴火して庶民がカタルシスを覚える図が到来した。横浜市ではワクチンの接種が進んでない。全国でも感染者数が多く、医療逼迫・医療崩壊の程度が甚だしい自治体なのに、他の都市と比べて接種の進捗が遅く、そのことへの憤懣と焦燥が特に今度の選挙の争点になり、投票行動を左右する中心的動機となっていた。 その点を客観的に見れば、候補に山中竹春を選んだことは立憲民主党の政治戦略の妙手と成功と言えるだろう。選挙の構図は、偶然ではあるけれどきわめてドラマティックに、菅義偉のコロナ対策を国民が審判する機会となり、民意の奔流が渦を巻き轟音を上げる政治となった。政治は物語的な一面を持っている。菅義偉は、この横浜での8月下旬の選挙を反転攻勢の起点にする思惑で、ここで勝利して総裁選と総選挙に繋げる構えだったが、それが頓挫して陥没した。… … …(記事全文3,066文字)
