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世に倦む日日

田中宏和(ブログ「世に倦む日日」執筆者)

田中宏和

劣化ウラン弾の健康被害を「私は知らない」と言った小泉悠 - マスコミの卑劣な正当化工作

英国政府がウクライナに劣化ウラン弾を供与すると発表。3月22日のTBS報道1930と翌23日の報ステに小泉悠が登場して解説し、劣化ウラン弾は多くの国が使用している通常兵器だと発言した。劣化ウラン弾の健康被害について「噂はされているが私は知らない」と言い、「ロシア軍も今回の戦争で使っていると思う」と言った。きわめて無責任な発言であり、批判するツイートを上げたところ、大きな反響があり、小泉悠に対する非難轟々のネット世論が盛り上がっている。劣化ウラン弾の毒性や非人道性を否定あるいは過小評価し、その使用や供与を正当化する言説工作は、高橋杉雄もNHKやフジで精力的に行っている。が、NHKは23日のオンエアではその部分を流さなかった(ネット記事では削除していない)。 劣化ウラン弾というと、何と言ってもイラクの子どもたちの被曝被害の地獄図であり、見るに堪えない残酷で胸が痛む写真群が想起される。20日に放送されたNHK国際報道でも、油井秀樹がイラク現地を取材、右腕に大きな骨肉腫ができ、がんが肺にも転移し、ステージ4の状態となった9歳の女の子が抗がん剤治療を受ける姿を放送していた。イラク政府環境省の医系技官が出演し、米軍の劣化ウラン弾によって地域が汚染され、がんが大量発生していると説明した。20年前、イラク戦争が始まった当時、森住卓の『イラクの子どもたち』の写真集が評判となり、多くの者がこの問題に注目、日本のマスコミでも何度も取り上げられた。劣化ウラン弾の健康被害は常識の範疇である。小泉悠の「噂はあるが私は知らない」は言語道断で許せないものだ。 森住卓の写真集は、湾岸戦争(1990年)時に米軍がイラクで使用した劣化ウラン弾の影響による発がん被害を告発した作品で、私はてっきり、批判を浴びたアメリカはイラク戦争(2003年)では劣化ウラン弾の使用を停止したものとばかり思い込んでいた。ところが、国際社会からの糾弾や警告にもかかわらず、その後もずっと使用を続けていたのだと知って愕然とさせられる。英語版Wiki を見ると、劣化ウラン弾についての詳細な情報が載っていて、問題のほぼ全体像を窺い知ることができる。簡単に言えば、劣化ウラン弾の毒性については科学的に証明済みで明解なのだ。だが、その人体への影響については、NATOが認めてないのであり、軍がこの武器を必需と考えていて、そのため健康被害の認識が公的に確立せず、禁止に至ってないのである。認めればアメリカの戦争犯罪が浮上するという問題もあるのだろう。 この問題で重要な事実を紹介したいが、まずEU議会は、劣化ウラン弾の使用の即時停止を求める決議を採択している。検索したら簡単に原文が見つかった。2008年の「劣化ウラン兵器に関する欧州議会決議」において "Urges Member States to avoid to the greatest possible extent the use of depleted uranium weapons ...." と明記している。この決議に先立つ5年前の2003年に「不発弾(地雷とクラスター爆弾)と劣化ウラン弾の悪影響に関する欧州議会決議」を上げていて、EU議会とその周辺がこの問題に真剣に取り組んだ経緯が了解できる。このEU議会決議事実は、劣化ウラン弾をめぐる政治的価値判断において決定的となる要素だが、日本語版Wiki には記載がない。英語版にはある。日本語版を編集した者が親米右翼で、故意に省略(隠蔽)したのだろう。卑劣だ。
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