北朝鮮のICBMをJアラートが誤報した件について考察を続ける。まず、浜田靖一は午前に会見して、「我が国領域内に落下していないことを確認した。EEZへの飛来も確認されていない」と言っている。午前8時16分にはエムネットですでに「落下の可能性なくなった」と告知していて、この時点でEEZ外への落下を確認している。落下地点を確定できたからこの発表ができたのだ。つまり、軌道を見失って誤った予測情報を午前7時55分に発出したのに、その20分後には落下地点を確認できている(このチグハグがNHKの夜7時のニュースでも指摘された)。経緯の詳細は明らかにされてないが、おそらく、米軍か韓国軍から正確な情報を得たのだろう。韓国と米国は最初から最後まで軌道を追尾できている。日本は、海自イージス艦を日本海に配置しておらず、太平洋上の艦でレーダー追跡したため、レーダー性能の限界(距離)を超えて見失ったのだ。 16日のサンデーモーニングでは、小原凡司が登場し、1段目は通常軌道で発射したICBMが、2弾目3段目で角度を変えてロフテッドにしたため、変則軌道となり、レーダーで捕捉追尾できなかったと言い訳の解説を披露した。13日夜のNHK-NW9での伊藤俊幸の解説とまるっきり違う内容の話だが、現在のマスコミ報道ではこれが「通説」となり、既成事実化されている。その元ネタは、14日に朝鮮中央通信が発表した新型火星18号の自己紹介だ。辻褄が合わなくもない話だが、香田洋二は14日の報道の中で、アメリカもロシアも過去のミサイルで例のない方式だとコメントしていて、どこまで鵜呑みにしていいか分からない眉唾の話と言える。もしも2段目以降をロフテッドにしたのなら、13日即日に、韓国軍参謀本部か米国がその観測を公表しておかしくない。彼らは今度のミサイルの軌道全体をレーダーで把握していたのだから。当初、彼らは「失敗」の見方を示していた。 小原凡司に訊きたいが、地上発射したICBMが通常軌道であったのなら、それは北米の方角めざして遠く北太平洋上を飛んで行くはずである。北海道上空をはるかに超え、アリューシャン列島に向かって進み落下すると考えられる。ICBMとは長距離の大陸間弾道弾の意味であり、今回の火星18号も射程5000キロと報じられている。通常軌道の方位と角度で発射し飛行したのなら、放物線を描いてアリューシャン列島の南の海上に着弾すると予測される。火星18号を最初に捕捉したレーダーシステムは、そう軌道計算するだろう。その情報が日本政府に届いたのであれば、北海道上空を通過して北太平洋に落下見込みとJアラートを出すのが自然である。過去にはその軌道で飛行したミサイルも存在した。2017年8月の事例は、渡島半島を横切って襟裳岬の上を飛び越えている。距離2700mの中距離ミサイルだった。 今回はそれより長距離のミサイルだから、北海道に落下する可能性はほとんどない。にもかかわらず、午前7時55分に「北海道周辺に落下するものとみられる」という誤情報(デマ:作り話)を出し、通勤通学途中の住民を混乱させ迷惑を強いた。当日の夜のテレビでは、佐藤正久が強弁して誤アラートを正当化し、警報の発出は当然で、警報に接したら国民は避難行動するのが規則だと開き直った。小野寺五典は、戦後初めて北朝鮮が故意に日本の領土を狙ってミサイルを発射したのだとドヤ顔で扇動し、マスコミはその恫喝をそのまま流して公論化した。オブジェクションを入れず、オーソライズした。その後、14日の北朝鮮の発表に縋るように、辻褄合わせの「3段式角度変更」を既成事実化し、13日の佞悪な策謀と混乱の強制をフェイドアウトさせている。結果的に、2兆円かけて整備した日本の「ミサイル防衛」の無能だけが際立つ顛末となった。… … …(記事全文4,048文字)
