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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

高市首相台湾有事発言は「従来の政府の立場」に何ら影響を与えるものではない。にも関わらず「中国に喧嘩を売った!」と騒ぎ立てるのは(中国を利するだけの)単なる「デマ」である。

高市首相の台湾有事を巡る存立危機事態についての発言で、中国が強く反発しています。そしてそれについて、日本国内でも、高市発言を批判する声が上がっている。

 

しかし、その声を詳しく分析すると、少なくとも当方が調べた範囲ではいずれも不当なものばかりである。例えば、

 

〈台湾からも批判の声〉完全に詰んだ高市首相「存立危機事態」発言…「愛国心はあっても外交能力がない」保守系識者がオールスルーの「重大事実」

https://news.yahoo.co.jp/articles/ed9aeb96a644c12c12bca6f8c00b21a63f2aafdc?page=1

 

というタイトルの記事にて、その著者は、

 

「努めて冷静に理屈、論理で検証していきたい」

 

と宣言した上で、

 

『高市早苗首相の発言は、武器どころか、日本の国益を傷つける「凶器」となってしまった』

 

と高市発言を激しく批判している。

 

しかし、この記事を「冷静に理屈、論理で検証」すれば、高市発言を根本的に誤解したものであることが明らかなのだ。そもそも、この記事における最大の批判ポイントは、

 

『高市首相の描くシナリオの最大の欠陥は、「アメリカ軍が必ず助けに来る」ということを、勝手に前提にしている点だ。首相は「米軍が来援する」と断言した。』

 

というものなのだが、この指摘そのものが間違っている

 

そもそも高市氏は、決して「アメリカ軍が必ず助けに来る」とは断定していない。高市氏は、アメリカの来援について次のように述べている。

 

『例えば、海上封鎖を解くために、米軍が来援をする。…こういった事態も想定されるので…』

 

あえて付言するまでもないが、これは「断定」とは程遠い、「例えば」の話であり、架空の話であるに過ぎない。

 

仮に当方が、「例えば、明日南海トラフが起こる…こういった事態も想定されるので…」と言ったとしよう。この発言を聞いて、「藤井は明日南海トラフ地震が起こると断定している!」と思う理性的な人は誰一人いないだろう。

 

つまり、高市首相はアメリカが台湾有事の際に来援するとは一切「断定」していないのだ。それにも関わらず上記記事の著者の高市批判は、高市氏が米軍来援を断定したという「事実誤認」に基づいている以上、正当なものとは一切言えないのである。


しかも、本記事における「事実誤認」はさらに続く。

 

『「米軍が来ない」状況で台湾有事が起きたらどうするのか。トランプ政権が介入を拒否した場合だ。それでも日本が「存立危機事態だ」と言って自衛隊を出すなら、日本は「台湾という『国』」を守るために戦うことになる。』

 

この文章に瑕疵はない。まったくご指摘の通りだ。しかし問題は…

… … …(記事全文3,735文字)
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