… … …(記事全文4,153文字)季刊誌「季節」(鹿砦社)2026夏号に寄稿された、ジャーナリスト木村英昭氏の論文が大変興味深い内容だったので、取り上げたい。タイトルは「原発を巡る3年間の動向―時系列が可視化する統治の変化」で、以下に示す前文のとおり、「出来事に時間軸を与え、分断された事象を接続することで、個々の政策判断の背後で進行する統治の変化を可視化すること」を目的としている。気になった部分を引用し、それに対する私の考え方について述べたい。
●前文
「原発を巡る議論は、『賛成か反対か』という対立の形式で語られがちだ。安全か危険か、必要か不要か。その問いは分かりやすい。だが、この3年間の動きを時系列的に並べて追うと、こうした対立的問題設定そのものが現実を捉えられていないことが見えてくる。むしろ、原発推進側は問題設定を『原発を使うべきかどうか』から原発の稼働を前提にして『それをどのように決めるか』へと移している」
「再稼働は繰り返され、制度は更新され、トラブルは処理され、説明がなされる。その一連のプロセスは一見すると合理的で、透明で、手続き的に正しいように見える。だが、その内部で起きているのは意思決定の前提そのものの変化である。『同意』は結果ではなく手続きとなり、『安全』は状態ではなく評価となり、『例外』は逸脱ではなく、制度を更新するトリガーとなる。これらの変化は、時間軸に沿って連続的に進行している」
「時系列が浮かび上がらせるのは統治の形式そのものの変化である。本稿は、原発の再稼働が続き、政府も原発の最大限の利活用へと舵を切った直近3年間の原発を巡る動きに注目する。そこに潜む構造を『賛否の問題』ではなく、原発を巡る『決定の構造』の変化として捉え直す試みである」
「本稿では、個々の政策判断の是非ではなく、『統治』を実行する主体と『制度』がどのような『構造』のもとで連動し、現実を形成しているのかを読み解くことを目的としている」
