… … …(記事全文4,196文字)●「リスクと現実の再配置」について
「原発を巡るこの3年間の変化は、リスクが減少したというよりも、リスクの配置の仕方が変わった点に特徴がある。危険は消えたのではなく、分割され、個別に管理され、日常の中に組み込まれている。リスクは一見『見えにくく』なり『扱いやすく』なっている」
「その構造を端的に示すのが、2023年8月24日に開始された福島第一原発の、汚染水を多核種除去装置(ALPS)で処理した、いわゆる『処理水』の海洋放出である」
「政府および東京電力は、この放出が国際基準に適合していることを繰り返し説明し、『安全性に問題はない』と強調した。放出は一度に行われるのではなく複数回に分けて実施され、それぞれが基準内かどうかで評価される」
「こうした構造は汚染水の処理の問題に限らない。設備の不具合、配管からの漏えい、作業上のミス、警報の発報。こうしたトラブルが2023年から2025年にかけて断続的に繰り返し確認されている」
「これらはその都度、原因調査や点検、補修、再発防止の対象として処理される。だが、時系列で並べると、原発の運用が常に小さな異常を抱えながら進んでいることが可視化される。単発のトラブルであれば偶発とみなされ得るが、月単位、四半期単位で同種のトラブルが繰り返されるならば、それは反復的に現れる構造的パターンと言えるだろう」
「問題は発生するが、停止には至らない。ここに逆説が生まれる。福島原発事故は、「終わっていない出来事」としてではなく、「管理されている状態」として扱われる。全体としての危険はむしろ見えにくくなる。福島原発事故への対処は、時間の中に分散し、制度の内部に組み込まれている。不確実性そのものが、制度の内部で管理可能なものへと再定義されるのである」
※私の考え方
木村氏が指摘するとおり、東京電力はトラブルを「小分け」にして、それ自体は安全性に影響を与えるものではない、という「手法」をとるようになっている。再発防止策は、何度行ったか数知れない。また、偶発的トラブルではなく、明らかな反復的トラブルと考えられるものも多い。
