… … …(記事全文5,984文字)現在の中国経済を理解するうえで重要なのは、単純な「中国崩壊論」でもなければ、反対に「中国は依然として高成長を続けている」という表面的な数字でもない。中国でいま起きているのは、不動産を中心として回ってきた従来の成長モデルが機能しなくなり、その代わりとなる新しい資本循環を中国政府が強引に国家主導で作ろうとしているという、大きな構造転換である。
中国経済は現在、深刻な不動産不況の長期化と内需低迷によって強い減速圧力に晒されている。
中国の高度成長を長年支えてきた最大のエンジンの一つが不動産だった。
住宅価格が上昇し、不動産会社が土地を買い、地方政府が土地使用権を売却し、その収入を道路、地下鉄、ニュータウン、工業団地などの建設に投入する。
そしてインフラ整備と都市化がさらに土地価格を押し上げる。
この循環によって不動産会社、地方政府、銀行、家計が同時に潤う仕組みが作られてきた。
しかし、この循環が現在は逆回転している。
住宅需要の冷え込みが長期化し、不動産デベロッパーの資金繰り問題も続いている。不動産価格の下落は単なる一産業の不況ではない。
中国の家計にとって住宅は資産形成の中心であり、その価格が下落すれば家計のバランスシートそのものが悪化する。
自分が保有する住宅の価値が下がれば、人々は自分が以前より貧しくなったと感じる。当然、消費を減らし、貯蓄を増やすようになる。
さらに若年層を中心とする雇用環境の悪化、将来の所得に対する不安、年金や医療など社会保障制度への不安も加わり、家計は将来のリスクに備えて消費を抑える傾向を強めている。
住宅を買わない。自動車を買わない。結婚を先送りする。子供を作らない。そして現金を貯蓄する。
その結果、国内需要が弱くなり、企業収益が悪化し、企業はさらに採用や投資を控える。つまり、
不動産価格下落→家計資産減少→消費抑制→企業収益悪化→雇用悪化→将来不安増大→さらなる消費抑制
という悪循環が生まれているのである。
物価の低迷が長期化している背景にも、この内需の弱さがある。
通常であれば、このような状況では政府が家計に対する大規模な所得移転や社会保障の充実などを通じて消費を刺激し、需要側から経済を立て直すというマクロ経済学的選択肢をとることだろう。
しかし中国政府がこれまで重点的に行ってきたのは、大規模な家計支援ではない。むしろ半導体、AI、ロボティクス、EV、電池、太陽光、原子力、航空宇宙、造船、通信、工作機械など、国家が戦略的に重要と考える製造業への投資を拡大する政策である。
つまり中国政府は、不動産に代わる新しい成長エンジンとして先端製造業を育成し、「不動産国家」から「製造業国家」への転換を進めようとしている。まさに日本のような付加価値性の高い製造業国家への転換を行おうとしているのだ。
単なる「中国崩壊論」では絶対に見えてこない。中国が目指す「製造業国家への転換」が100%失敗する構造的理由とは?
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