… … …(記事全文6,859文字)ワレリー・ゲラーシモフ露軍参謀総長の報告
プーチン大統領は26日(日)、軍服姿でロシア統合軍司令部の拠点の一つを訪問し、ワレリー・ゲラーシモフ露軍参謀総長や実働部隊の司令官らと会談しました。この会議の中でゲラーシモフ参謀総長は、ロシア軍の最高司令官であるプーチン大統領へ報告を行いました。まず重要な報告は、Youtubeの「日曜版・戦況」でここ最近、最重要拠点とお伝えしてきましたドネツク州のパクロフスク市、ミルノグラード市でウクライナ軍の完全包囲=大釜を達成したということです。
ゲラーシモフ参謀総長によれば、ロシア軍の中央部隊が、クラスノアルメイスク(パクロフスク)とドミートリエフ(ミルノグラード)のウクライナ軍の31個大隊から成る大規模な部隊を封鎖。「その中には第79空挺突撃旅団、第35海兵旅団、第155機械化旅団などの部隊が含まれていました」と報告しました。 「31個大隊」が「大釜」に陥ったということですが、ウクライナ軍の「大隊」は約400~800人で構成されてると言われています。ということは、約1万2400人~2万4800人が包囲されたと推察できます。
因みにロシアの軍事アナリスト、ユーリー・ポドリャカ氏が26日に自身のテレグラムチャンネルで報じたところによれば、今回のロシア軍の攻撃は、今後「軍事教科書」に掲載されるくらい、今までにない「非正規」の攻撃が成功した初めての事例だと絶賛しています。なお、ポドリャカ氏はこの作戦が進行中、その邪魔をしないよう、詳細については情報更新をしていませんでした。
この作戦が成功した背景には、ロシア軍のドローンの優位性、そしてウクライナ軍の歩兵不足という状況があることを前提として、ロシア軍は都市部での市街戦で、典型的な歩兵と重装備を組み合わせた攻撃作戦を行わず、組織的に小規模グループによる侵入を行い、ウクライナ側の兵站を遮断。その結果、ウクライナ軍のドローン部隊は撤退または撃破され、ロシア軍の進撃に影響を及ぼすことが困難になり、そしてある時点で防衛線は弱まり始め、ついには崩壊。これが包囲網の形成に繋がった、と分析しています。
そしてゼレンスキー氏による、この包囲網を如何なる犠牲を払ってでも死守せよ!との命令を受けたウクライナ軍部隊は、半包囲された状態で兵站体制を整える際に甚大な損害を被った、と述べています。日曜日の戦況版で、パクロフスクの防衛にあたるアゾフの第三突撃旅団アンドレイ・ビレツキー司令官が撤退命令をウクライナ大統領府に要請したとお伝えしましたが、その返事を待たずに部隊は独自に撤退したのか、いわゆるウクライナ軍の精鋭部隊は撤退し、パクロフスク市の北西部のグリシノ(Grishino)で急遽防衛線を構築しようとしている模様です。ここから大釜に陥った部隊へドローンによる物資補給を行う可能性もあるとポドリャカ氏は指摘しており、今後ロシア軍がどういう作戦を展開するかが注目されるところです。
ゲラーシモフ参謀総長の重要発言!
話を元に戻します。ゲラーシモフ参謀総長は報告の最後の方で次の様に語りました:
戦略核戦力訓練において、大陸間弾道ミサイル「ヤルス」(Yars※写真上)と「シネヴァ」 (Sineva※写真下)、そして空中発射型巡航ミサイル「KH-102」 2発の実戦発射訓練が実施されました。訓練目標は達成されました
ロシア軍は今月の22日、陸・海・空軍が参加しての戦略核戦力演習を実施しました。大陸間弾道ミサイルは「シネヴァ」はバレンツ海の原子力ミサイル搭載潜水艦「ブリャンスク」から発射。大陸間弾道ミサイル「ヤルス」は、プレセツク宇宙基地からカムチャッカ半島へ向け発射。そして「KH-102」は戦略爆撃機「Tu-95MS」から発射しました。
余談ですが、奇しくもこの22日、トランプ大統領はNATOのルッテ事務総長との会談後に、ブタペスト会議をキャンセルする発言を行いました。Youtube動画の土曜版では尺が足らなかったため、この件については触れませんでしたが、このロシアの戦略核演習もトランプ大統領の心理に何らかの影響を与えたかもしれません。
原子力大陸間巡航ミサイル「ブレヴェストニク」(Буревестник/Burevestnik)
ゲラーシモフ参謀総長の報告を聞き終えたプーチン大統領は、成果をあげた部隊を慰労、感謝する発言を行いつつ、包囲されたウクライナ軍兵士が降伏した際には国際法やロシア連邦法に則り捕虜を扱うよう指示を出し、またロシア軍兵士の安全を最優先する様にもゲラーシモフ参謀総長に伝達しました。






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