… … …(記事全文3,948文字)●「震災」から15年
NHKは、「東日本大震災から15年」という表現はしなかった。正しくは、「東北地方太平洋沖地震から15年」である。震災はまだ続いており、明確な終わりはないことから、「東日本大震災発生から15年」という表現にしたという。賢明な判断だと思う。ましてや原発事故に関しては、「終わっていない」度合いが格段に大きいので、「原発事故から15年」ではなく、「原発事故発生から15年」としなければならないだろう。
また、「福島事故を忘れない」というキャッチフレーズにも多少の違和感を覚える。「忘れない」とは、終わったこと、すなわち振られてしまった大切な人や亡くなってしまった人に対して使う表現だと思うからだ。福島第一原発事故は、終わってなどいないのに「忘れない」とは福島県に暮らす人たちに失礼ではないのか。確かに、反原発運動で使うのには、語呂が良いし、運動している人たちを否定する気持ちはさらさらない。できれば、「福島事故は継続中」はどうだろうか。
もう一つ気に入らない表現がある。それは、「風化させない」である。私が捻くれているためかもしれないが。「風化」とは、やはり、けりが付いた問題が時間とともに、世間の関心が薄らいでいくというニュアンスが強いと感じるからだ。拉致問題では「風化させない」というフレーズが頻繁に用いられる。
●メディアの報道は「悲劇の物語」
言うまでもなく、福島第一原発事故は、特に福島県で生活を営む人たちに甚大な被害を与えた。メディアの報道に接すると、思ったとおり「悲劇の物語」が多い。内容がエモーショナルであるのは、拉致問題に関する報道と似通っている。拉致問題と同じように触れてはならないタブーがあるのだ。それは原発事故である。
