… … …(記事全文4,159文字)●頻発するトラブル 今度は発電機の「地絡」⁉
柏崎刈羽原発6号機が再稼働作業を開始してから、トラブルが絶えない。最近のものでは、「電気が地面に漏れたことを示す警報が鳴る」と報道したメディアもあった。これは、発電機の「地絡」ではないか、そうであれば深刻な問題だと思った。地絡とは、発電機で起こした電気がケーブルや機器から大地へ漏れている状態をいう。これは、感電事故や火災、設備の損壊など安全に大きく影響する重大な事態である。
しかし、よく調べてみると発電機微少地絡継電器動作の警報が発生したということだった。この微少地絡継電器は、地絡の兆候を早期に検知するための装置である。ほっと胸をなで下ろしたのだが、詳細を良く知らない記者が、記事を書くとそうなってしまうのかと改めて痛感した。中には「漏電」という言葉を使用しているメディアもあった。厳密に言うと、漏電とは「本来流れるはずの経路以外に電流が漏れる現象」を意味する。したがって、漏電という概念の中に地絡が含まれるという関係にある。今回の件では、正確には「地絡」を使用すべきである。
●メディアの報道では理解できないトラブルの原因
警報が発生した原因についても報道でしか知り得ない。しかし、記事を呼んでも良く理解できない。原因は、「発電機と接地装置をつなぐ部品が破損したためである」「破損した部品には通常、微弱な電流が流れているが、破損によって電流が途絶え、漏電を検知する機器が反応したとみている」「破損した部品はアルミ製でL字のような形状をしており、横10センチメートル、縦60センチメートル、ボルトで留められていたが、発電機側とつながっていた横の部分が破断していた」
これだけでは、警報が出る原因を理解することはできない。どのようなメカニズムで漏電を検知する機器が反応したのか、いつ部品が破損したのか。破損が直接の原因であれば、警報は出っ放しだったのではないのか。これらの疑問は、東京電力の詳細な説明がなければ解けることはない。
●本稿のテーマ
本稿では、柏崎刈羽原発の「地絡」の問題ではなく、別のテーマを扱うつもりである。それは、福島第一原発事故発生から15年経過することから、過去の資料を読み返してみた。すると、事故直後から「謎」とされた現象が、この期に及んでも解明されていないのである。本来であれば、事故の原因究明をきちんと行い、適用されていた安全思想・基準や指針が間違っていなかったか検証し、それらの教訓を踏まえて安全基準を策定すべきである。しかし、原因究明は棚上げ先送りされ、再稼働が前提の基準がわずか1年で作り上げられて、しかも規制基準と言い換えられた。
米国から、ハードとともに輸入された安全思想というソフトにも大きな欠陥があるならば、1年やそこらで基準ができるはずがない。15年経ってもいや、一生できないかもしれない。原因究明に欠かせないのが現場検証である。しかし、高線量でアクセスできないという理由で行われていない。また、再現試験も必要となるだろう。これも、行われるはずがない。そうしている間に現場では、「廃炉作業」という名の下に、どんどん機器が撤去あるいは廃棄扱いになっている。これは、一種の「証拠隠滅」と言ってもいいだろう。
国会事故調査委員会(別名 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)は、報告書の中で、「現在不明な事項も継続的に調査すること」といった主旨の「宿題」が記されている。原子力規制委員会が実施はしているものの、本腰を入れているようには見えず、お寒い限りの継続調査である。
「謎」をリマインドするため、代表的なものを記述しておきたい。
