… … …(記事全文3,776文字)長年にわたり、拉致問題について調査・取材をしているジャーナリストである高世仁氏と複数のジャーナリストによる匿名ユニットNK917が、旬報社から「拉致 封印された真実」(以下「本書」という)を本年3月1日に出版した。(上)(下)二巻からなり、それぞれが350ページを超える大作である。高世氏によれば、「私の長年にわたる取材の集大成である。知り得るすべてのことを世に出しておきたかった」ということである。関心のある方には是非読んでいただきたい。
私も拉致問題については、ほとんどのことを知っていると思っていた。しかし、2002年前後は、当事者として、すなわち家族会(「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」)の事務局長として忙殺されていたこともあり、起きていることの舞台裏やその詳細までは分からなかった。それらを、本書が明らかにしてくれた。本稿ではその一部を引用して紹介する。
●金正日総書記が拉致を認めて謝罪した理由
日朝首脳会談で金正日総書記が拉致を認めて謝罪したことを聞いた時、非常に驚いたが嘘だと思った。なぜならば、それまでの日朝交渉で「拉致疑惑」と日本外務省が口にしただけで、北朝鮮外務省は机を蹴飛ばして退席、これが繰り返されてきたからである。交渉担当者が、この態度であるから、最高指導者が認めるはずがないと考えていた。しかし、本書にその背景が記されている。
