… … …(記事全文3,843文字)インド洋に浮かぶチャゴス諸島の主権移譲に関するトランプ大統領の発言が話題となっている。今回は、このチャゴス諸島に関して話したい。
チャゴス諸島とは、約60の島々からなる群島で、その島々の中で一番大きな島がディエゴガルシア島だ。
東京都中央区の約3倍程度の大きさで意外と広い。ディエゴガルシア島
ディエゴガルシア島以外は、ほとんどが無人島で、かつては島民がココナッツ栽培などで暮らしていた。もともとチャゴス諸島は英領モーリシャスの一部だったのだが、1965年、イギリスはモーリシャスの独立を認める条件としてチャゴス諸島を分離させたのだ。
イギリスはこの諸島の中のディエゴガルシア島をアメリカに軍事基地として貸与するため、約2,000人の島民を強制的に立ち退かせ、長らく帰還を禁じてきた。
イギリスが島民を立ち退かせてまでアメリカの要求を飲んだ理由は、自国の防衛と経済の切実な事情にあった。
まず、イギリスは自国の核抑止力を維持するため、米国製の「ポラリス・ミサイル(潜水艦から発射できる弾道ミサイル)」の提供を切望しており、その見返り(取引材料)として基地の場所をアメリカに提供した。
また、財政難で軍事費を削りたいイギリスにとって、米軍に基地を運営させることは、自国の負担なしにインド洋の安全保障を維持できるという大きな利点もあった。
そのようなわけで、イギリスは、長らく自国領ディエゴガルシア島をアメリカに貸してきた。
これに対し、モーリシャスは不当な切り離しであると主張し続け、2019年には国際司法裁判所(ICJ)がイギリスの統治を「違法」とする勧告を出した。さらに国連総会でも返還を求める決議が圧倒的多数で採択されるなど、イギリスへの国際的な風当たりは強まっていった。
こうした圧力を受け、イギリス政府はモーリシャスへの主権移譲に合意した。
この合意では、チャゴス諸島全域の主権をモーリシャスが持つ一方で、戦略的に重要なディエゴガルシア島の基地については、イギリスとアメリカが今後99年間にわたって運用を継続するという実務的な妥協が図られている。
今回の合意により、長年故郷を追われていたチャゴス諸島の人々に帰還の道が開かれたのだが、最大の島であるディエゴガルシア島については、基地運用が続く99年間は一般人の立ち入りが制限される見込みだ。
島民にとっては、勝手に島にやってきて、基地を作り、俺たちを追い出しやがってと言う思いは当然あるだろう。
この返還劇を単なる美談と捉えるのは早計だ。
その裏には、各国の思惑が渦巻いていた。
本稿では、日本のエネルギー安保を揺るがす覇権争いの真実を暴く。
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