… … …(記事全文2,114文字)台湾に詳しい人なら、金門・馬祖の歴史や位置はすでにご存知だと思いますが、今回はこんなに台湾の実効支配区域と中国が近接しているのに、なぜ共存できているのかについてお話しします。
金門島から中国大陸側を見ると厦門市の高層ビル街が見える距離です。
小金門島の前に見える小島は獅嶼島で台湾軍が駐屯しています。遠景は中国領 厦門です。
金門島は1949年の古寧頭戦役、1958年の金門砲戦という2つの戦いの舞台となりました。
古寧頭戦役では、中国・人民解放軍9086名が金門島に上陸して蒋介石が率いる国民党軍4万名と激しい戦闘を繰り広げました。この戦いで、国民党軍はアメリカ軍供与のM5軽戦車と台湾海軍の上陸用舟艇の砲撃で人民解放軍を駆逐して金門島を防衛。M5軽戦車は島内で砲撃できないので機銃掃射とキャタピラで敵の歩兵を轢きまくったそうです。
この戦いで人民解放軍は「島」を侵攻することがどれほど困難か学習したはずです。
この戦いの直前に元日本軍中将・根本博が軍事顧問として蒋介石軍に合流した話は有名です。
金門砲戦では、人民解放軍は、金門島に44日間で47万発超の砲弾を撃ち込み(人民解放軍による砲撃そのものは1979年1月1日までの21年間にわたって定期的に続けられました。)ましたが、台湾側は金門島を死守。人民解放軍を寄せ付けませんでした。
たった2kmの先の島ですら20年以上攻撃しても侵攻できなかったのです。
21年間攻め続けても攻略できない中国側は、無益な戦いを続けるより、台湾側と共存していく道を探り始めます。
冷戦崩壊後の両岸間の緊張緩和を受けて導入された「三通政策」を受けて、金門島へは両国から船舶の定期便が運航されており、台湾側の観光客だけでなく、中国側からの観光客も年間50万人も訪れる観光地となっており、金門島では人民元が流通して商店街には中華民国国旗とともに中華人民共和国の国旗も掲げられているカオスな状況になっています。
2015年に台湾は中国側と水道の供給契約を交わしました。現在は一日3万トン以上の水道水を約25kmのパイプラインで供給を受けています。
筆者はこの情景を南北朝鮮関係と似ているのではないかと考えます。この金門島住民は台湾人の意識はほとんどなく、大陸由来の福建省人の感覚。島民の大多数は国民党支持者。韓国がかつて北朝鮮の金剛山観光や開城工業団地を共同運営したのと似ていますね。同族だから可能なのかなと。


