… … …(記事全文6,066文字)反汚職機関NABUへの弾圧で信用失墜…
ウクライナの反汚職機関「ウクライナ国家反汚職局(NABU)」と「特別反汚職検察庁(SAP)」の独立性を制限する法案第12414号が、今年の7月22日にウクライナ最高会議で採決され、その後ゼレンスキー氏により署名され成立しました。現在のキエフ政権は、政敵や今後権力を脅かす存在の人々(各地域の首長や市長なども含め)の弾圧に取り組み、独裁政権化を推進しています。しかし彼らの管理外である西側諸国により設立されたこれら2つの反汚職独立機関にまでその手を広げたことは命取りでした。
キエフ政権は自分達が子飼の人物を新たな検事総長に任命し、この2つの反汚職機関を検事総長の管理下に置こうと企んでいたのですが、このことで23日以降、ウクライナの首都キエフや各地方で大規模な反ゼレンスキー、反イェルマーク大統領府長官の抗議デモが勃発しました。街頭に繰り出した人々のほぼ全員が、段ボールに抗議のメッセージを書き込んでいたことから「段ボール・マイダン」(写真)とも呼ばれました。
キエフ政権の主要なスポンサーであるEUは、この反汚職機関の弾圧は、EU加盟へ向けた動きの「重大な後退」であるとしてキエフ政権を批判。更に米国のリンジー・グラハム上院議員(共和党)らも、この法律を批判しました。するとゼレンスキー氏はその2日後の24日、事実上この新法律を廃止する法案第13533号を最高会議に提出し、7月31日に新法が成立。結果、NABUやSAPの独立性は回復しました。
現在はこの抗議デモも収まっていますが、この件は日本のメディアをみていても絶対に見えてこない、キエフ政権の実態・本質が露骨にみえたという点で、非常に興味深い騒動でした。


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