… … …(記事全文2,014文字)「基軸通貨ドルの落日 トランプ・ショックの本質を読み解く 前編」(中野剛志著・990円・文藝春秋)
世界を揺るがせた「トランプ・ショック」。この唐突な関税措置に対して、こう考えている人は少なくないだろう。
<自由貿易というリベラルな国際経済秩序は、アメリカを含む世界各国に利益をもたらしており、堅持すべきだ>
<トランプは「取引」によって、短期的な利益を上げることしか考えていない>
<リベラルな国際経済秩序に反するトランプ政権の行動は、ドルの急落を招く。経済指標が悪化すれば、アメリカは翻意するかもしれない>
本書で示されているのは、これらとはまったく違う認識である。
まず言えるのは、既存の国際経済システムには致命的な欠陥があるということだ。
1980年代以降、「自由市場が最適な資源配分を実現する」という新自由主義イデオロギーを背景に、ヒト・モノ・カネが国境を超えて活発に移動する「グローバル経済」が台頭。
その結果、世界には2つのタイプの「レジーム」(経済体制)が出現した。
ひとつはアメリカなど、債務(借金)を増やして消費を拡大し、経済成長してきた「債務主導」レジーム。
グローバル経済のもと世界ではバブルが起きやすくなっており、バブルが続いている間であれば「債務主導」レジームも経済成長は可能だった。
もうひとつはドイツ、中国、そして日本など、「債務主導」レジームの国々へ輸出することで経済成長を追い求めた「輸出主導」レジーム。
経済のグローバル化が生み出したのは、後者の貿易黒字を、前者の消費が吸収する「グローバル・インバランス(不均衡)」だったのだ。


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