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山田順の「週刊:未来地図」
No.823 2026/03/17
訪米で高市首相が受け入れる「売国」リスト
日本の凋落、貧困化は避けられないのか?
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高市訪米が迫っている。19日の日米首脳会談に向け、メディアは無批判で、なにが決まるかについて垂れ流し報道を続けている。5500億ドル対米投資第2弾、国防費GDP比3%受け入れ、ゴールデンドームへの参加、南鳥島レアアース日米共同開発、ホルムズ海峡への自衛隊派遣など、よくもまあこんなに、日本が不利益を被ることばかりあるものだと感心しつつ、悲しくなってくる。
もしこれらを全部飲めば、間違いなく日本は凋落し、国民は貧困化する。「日本列島を強く、豊かに」など、ただの夢物語となる。しかし、高市首相なら、やりかねない。
本当に今回ばかりは、こんな政府の下でこの国で生きていくことがイヤになった。日本政府は、どこまで卑屈なのか?
写真©首相官邸HP(日米首脳会談2025年10月)
[目次] ─────────────
■対米投資第2弾16兆円、「原発建設」が目玉
■破棄あるいは再交渉でトランプの怒りを買う?
■「通商法122条」の後は「通商法301条」で関税継続
■国防費GDP比3%は積極的に受け入れか?
■この秋、中間選挙後トランプは確実に弾劾される
■国防費GDP比3%は積極的に受け入れか?
■防衛費より、教育投資、産業投資、技術開発を!
■愚かすぎるゴールデンドーム計画への参加
■南鳥島レアアースの日米共同開発という夢物語
■深海6000メートルの泥を引き上げた国などない
■国産レアアース開発は現代の「インパール作戦」
■自衛隊の派遣は二者択一、イエスかノーしかない
■戦争を終わらせられるのは勝者ではなく敗者
■日本国と日本人のサバイバルが最優先
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■対米投資第2弾16兆円、「原発建設」が目玉
すでに5500億ドル(約88兆円、ドル円=160円換算)の第1弾は決まり、今回の高市訪米で第2弾が決まると政府はメディアにアナウンスしている。それを、メディアは無批判に垂れ流している。
「投資」とは名ばかりで、日本政府が保証する融資による「献上金」である。
この献上金の規模は、今回の第2弾が1000億ドル(約16兆円)。内容は、原子力発電所の建設、液晶・有機ELディスプレー製造、銅精錬の3事業。このうちもっとも規模が大きいのは原発建設で、ウェスティングハウス製の原子炉を10基も建設するという。
第1弾の目玉は、ガス火力発電所の建設だったので、この原子力発電所と合わせて、日本はアメリカの電力供給の一画を担うことになる。AI時代は、巨大データセンターを維持するための大量の電気を必要とする。よって、この事業はアメリカのビッグテックの下請けになることを意味する。
■破棄あるいは再交渉でトランプの怒りを買う?
対米投資は相互関税の引き下げとの交換条件で、日本がやむなくというか、トランプの脅しに屈して合意したものである。しかし、相互関税を決めた大統領令の根拠法「EEPA」(International Emergency Economic Powers Act:国際緊急経済権限法)の適用が最高裁で違憲と判断されたことで、合意は見直されて当然である。
韓国はごまかして逃げ切ろうとし、EUは合意を一時的に破棄した。それなのに日本は律儀に第2弾を献上するというのだから信じがたい。
トランプ政権は、違憲となった相互関税の代わりに、根拠法を「通商法122条」(Trade Act of 1974, Section 122)に代えて、一律10%の関税を発動した。その後、15%に引き上げた。ただし、「通商法122条」には、150日間の期限がある。つまり、いまのところ関税は続いているわけで、これに日本は怯えているということだろう。
合意を破棄あるいは再交渉に持ち込んだら、トランプの怒りを買う。そして、さらに関税をふっかけてくると思い込んでいるのだ。
■「通商法122条」の後は「通商法301条」で関税継続
しかし、このあとトランプがどんな関税政策を取ろうと、いずれレイムダックとなり、関税政策は破綻する。
トランプとその茶坊主、商務長官のラトニックや財務長官のベッセントらは、「通商法122条」の150日の機嫌がきたら、今度は「通商法301条」(Section 301 of the Trade Act of 1974)を持ち出して、関税を継続させる絵図を描いている。
「通商法301条」は、外国の不公正貿易で米国が打撃を受けた場合、制裁関税などの発動ができるというもの。「通商法301条」による追加関税には税率の上限がない。ただ、期限は4年間で延長もできるが、事前調査に加えて相手国との協議や公聴会などの手続きが必要になる。これに、通常なら、少なくとも1年はかかる。
しかし、これを3カ月足らずで行い、「通商法122条」の期限が来る7月末に実行しようというのだ。米通商代表部(USTR)は3月11日、「通商法301条」に基づく調査を開始したと発表した。調査対象は16カ国・地域で、日本、韓国、中国、EUのほか、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、メキシコ、インドなどが含まれる。
■この秋、中間選挙後トランプは確実に弾劾される
このようにトランプ関税は続いていくが、その継続は綱渡りで、また違憲となる可能性がある。さらに、中間選挙での負けは確実だから、トランプはレイムダックとなる。
そもそもトランプは、元不倫相手への口止め料支払いなどの裁判で有罪判決を受けた刑事被告人である。それが、大統領に再選されたため、現職大統領の訴追を禁止する司法省の方針を理由に、事実上、無条件で放免されただけ。つまり、大統領でなくなれば、訴追は確実だ。
このことも踏まえて、中間選挙後は、民主党がマジョリティを得るので、「弾劾」される可能性が非常に高い。ただ、弾劾には下院は過半数でいいが、上院は3分の2の賛成が必要のため、ハードルが高いとされる。
しかし、エプスタイン問題の隠蔽、関税による暴走、議会無視のイラン戦争、利益相反のファミリービジネスなど、あまりの横暴に共和党議員の一部でも反乱を起こせば、弾劾は十分あり得る。
そうならば、それを見据えて、対米投資を引き伸ばすか、のらりくらりと逃げ切るという「韓国方式」が、もっとも懸命な選択だ。はたして、高市首相はそんな役者ができるのだろうか。
