… … …(記事全文3,997文字)政治が政策を国家のエリート組織にゆだねる日本の最大の問題は、エリートが無謬という神話に毒されていることだ。間違ってもそれを認めることはなく、責められることもなく、延々と間違いを繰り返す。
チェックすべきメディアにその能力はない。エリート官僚のブリーフィングと見解なるものに頼る思考の産物である。政治家のほうも独自の分析、立案の知的機関はなくエリート官僚頼みだが、責任を問われるので、君子豹変すればよい。日銀にはその余地すらない。
例えば、外部から政治任命される日銀政策委員会審議委員は就任するや、連日の日銀スタッフたちによるブリーフィング、言い換えると洗脳工作に遭い、いつの間にか独自思考ができなくなるとも聞く。総裁が日銀生え抜き、あるいは日銀同調者であればなおさらのことだ。
植田和男総裁日銀はまさにそんな伝統への回帰であり、失敗を繰り返そうとしている。