■渡邉哲也の今世界で何が起きているのか (通常版)
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この行より下のエリアは有料購読者のみに表示されます第二次高市内閣の改造内閣の組閣が行われました。これは9月の党人事に伴う組閣であり、高市内閣としては、総裁選などの影響(論功行賞)を受けない初めての本格人事となります。
今回、高市総理はすべての自民党議員に対して ①アンケートを取り、その結果をもとに最初のふるいにかけ、本人に希望がない人を排除しました。これは「大臣になりたいのではなく、大臣になり何をしたいのか」、そして「何ができるのか」という最も基本的な問いかけです。 そのうえで ②選挙に勝てる人──地元有権者から強い支持を得ており、毎週末選挙区に帰って地元活動をしなくても勝てるため、東京でじっくり仕事ができる人 ③外交や海外との関係など継続性が必要な人 という三つの基準で人選をしたとしています。今回の人事は、本当の意味での派閥亡き後の人事であり、これまでの「派閥推薦型人事」ではないことを明確化しました。
これまでの人事は、各派閥から出てきた「派閥推薦」により、各派閥に割り当てられた人数に合わせ、リストの中から選択する仕組みでした。そして各派閥は当選回数などから推薦リストを作成し、基本的に大臣適齢期(衆議院当選5回、参議院当選3回)を目途に推薦してきました。しかし、派閥なき今、このような繰り上げ人事は行わないと明確化したわけです。
多くのオールドメディアは「飛ばし報道だらけ」になりました。従来型派閥が解消されたため、存続する麻生派以外の派閥の番記者は「遊軍状態」となり、従来の派閥が溶けていく中で取材源を失い、どこに取材してよいのかもわからない状態となりました。その結果、近しい議員から聞いた噂をもとに報道を行ったわけです。これでは裏どりもできません。また、相談を受けた麻生副総裁は何も語らない。これには従来型報道の否定の意味もあります。
また、参議院の幹事長人事をめぐる憶測が多数流れましたが、これも記者の憶測であり、高市総理の行動とは関係ないものと推測します。基本的に衆議院と参議院は、一般の方が思う以上に隔離されています。それぞれの院は独立しており、衆議院側は参議院に直接的な介入をすることはできませんし、それを行えば無用な反発を生みます。議会制度としても、細かいところでいえば、議員会館の警備から食堂運営、各種申請の書式までまったく異なるのです。
しかし、その二つの院は無関係ではありません。わかりやすく言えば「夫(衆議院)」と「妻の実家(参議院)」の関係であり、夫は妻の実家に直接的な干渉はできない。しかし妻の実家も夫に対しては一定の敬意と忖度を行う構図。また、妻の実家(参議院)は選挙の際、自らの手足を持たないため、地元の衆議院議員の協力が必須になります。衆議院側の協力なしで勝てる参議院議員はほとんどいません。
今回、高市総理が参議院の党内人事に介入したのではないかという記事が出ましたが、それはないものと推測します。また、この件で「総理は参議院に手を出せないという慣例」と報道しているところがありますが、これは誤りであり、「自民党総裁(衆議院)は参議院の運営に直接介入できない」というのが正確であると思います。
今回、高市総理の政権運営を妨害したとされる「参議院NO2の石井準一参議院幹事長」が解任されることになりましたが、これを行ったのは参議院NO1の松山参議院会長であり、それは総理の指示ではなく、正常な党と院の運営のためであるとされます。
前回選挙で参議院は過半数を持たない少数政党に転落し、党内における参議院の位置づけと意味は大きくなりました。参議院側の議員の絶対的協力が必要であり、野党を含めた部分合意を取り付ける必要があるからです。しかしその一方で、衆議院による再可決も可能であり、この点においては参議院の力はそがれています。
石井氏は「自民参議院クラブ」を結成し、高市政権を支えると言いながら、その本質は反高市のグループ作りであるといわれています。確かに40人の参議院議員がこの会に参加していますが、本格的な造反活動を行った場合、石井氏についていくのはせいぜい10名程度とされます。また、幹事長としての地位を失ったことで、時間とともにさらに厳しくなると予測されます。
衆参合わせて、本質的な反高市はせいぜい30人程度であり、旧石破派の議員や旧二会派の一部など、数は限られています。また、本格的な造反を行えば、彼らは党内から排除されることになるでしょう。総理の持つ解散権と総裁の持つ公認権は「伝家の宝刀」であり、使わなくても大きな意味を持つのです。
今回の組閣ですが、内閣の骨組みは変えずに、官僚出身など実務能力の高い議員が数多く入閣することになりました。これは抵抗勢力の力を抑えながら、粛々と公約の実現を進める布陣であり、各省庁の官僚たちを動かすための布陣といってよいと思います。
現在の予算は、基本的に石破政権が作ったものであり、高市総理がそれに手を入れた程度に過ぎません。それに対して、現在編成中の来年度予算からは、高市内閣が作る初めての本格予算となります。そして、それを着実に実行するには、実務能力に長け、官僚たちと話し合いができ、確実な指導ができる大臣が必要です。今回の人事はこれを重視したともいえます。
著者:渡邉哲也(作家・経済評論家)
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