… … …(記事全文2,015文字)経済ジャーナリストを自任する者として、中国当局のGDP発表値の信憑性を疑うのは当然である。前述の当局発表のGDP需要項目別の原データについて、国家統計局は2022年までしか明らかにしていない。上記のグラフ1の成長率は前年比増減率、成長寄与度を含め、「インデックス」として発表しているだけで、肝心の母数は公表していない。
そこで、国家統計局による固定資産投資と家計消費関連の統計と、中国外国為替管理局発表の国際収支統計中の純輸出をピックアップして成長寄与度とそれらの合計を算出したのがグラフ3である。純輸出、家計消費、固定資産投資がそれぞれGDP成長率をどの程度の幅で上下させているかを表わす「GDP成長寄与率」の母数値は中国国家統計局の分野別統計から拾い出せる。3項目の算出値を足し合わせるだけでGDP成長率の大要は浮き彫りになる。
この合計値(実線)に対し、点線が当局発表のGDP名目成長率である。両者を比較してみると総じて当局分が一貫して合計値を上回るが、2023年は向きが逆になっている。最大の要因は不動産など土地の上物を意味する固定資産の投資である。22年はGDPの4割以上を占める最大の項目なのだが、23年は大きく落ち込んだ。