… … …(記事全文1,695文字)内閣支持率の低迷が続く岸田文雄首相だが、巻き返せるのか。
鍵になるのは、「脱デフレ」である。第2次安倍晋三政権によるアベノミクスでも果たせなかった。岸田氏はことしに入って、ことあるごとに「デフレからの脱却」を口にしている。ところが、肝心の財政・金融政策は共に引き締めへと、デフレ圧力温存に傾斜している。
政府の来年度予算編成の指針となる「経済財政運営と改革の基本方針2024」原案(6月11日発表)によれば、わが国はデフレから完全に脱却し、成長型の経済を実現させる千載一遇のチャンスを迎えている」という。
確かに、今はデフレ終結の条件が整ってきたかのように見える。春闘の賃上げが大企業では5.58%と1991年(5.60%、最終集計)以来33年ぶりの高水準だった。デフレの一般的な定義は物価が継続的に下がり続ける状態をさすが、実質賃金が下がり続け、需要が低迷するのが、日本型デフレなのである。1990年代末以降、物価下落幅以上に賃金が下がる状態がしばらく続いた。ウクライナ戦争開始後の2022年3月以降には物価上昇率に賃上げが追いつかない。