… … …(記事全文2,039文字)米国ではあとひと月で大統領の座に復帰するトランプ氏が、MAGA(米国を再び偉大な国にする)を標榜し、産業競争力を阻害するドル高・相手国通貨安を嫌う。米連邦準備制度理事会(FRB)も利下げ路線を堅持している。日本のほうは日銀が利上げ基調を崩さない。そうであれば、ドル安、円高へと市場が動くはずなのだが、実際にはドルが買われ、円が売られやすい。なぜなのか。
米FRBは12月18日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを決めたのに対し、日銀は19の金融政策決定会合で利上げを見送ったが、来年1月以降に先送りした。日米の金利差自体は米利下げの分だけ縮小したので、円高に振れてもおかしくないが、そうはならないと戸惑う向きもある。だが、こうした為替談義はピンボケもよいところだ。
謎を解く鍵は日米間の資金の流れにある。日本から海外に出て行く円資金は必ず外国為替市場で売られてドルに変換されるので、円安をもたらす。米国への海外資金流入が激しいときはドル需要が旺盛なのでドル高になりやすい。