… … …(記事全文2,812文字)拙論のよき理解者で、同時に機会あるごとに支持していただいたエコノミスト、森永卓郎さんが壮絶なガンとの闘いを演じ、最後を遂げられた。以下は亡き森永さんに読んでもらいたい拙記事である。
森永さんとは1年くらい前にCH桜の討論番組で会ったきりだったが、そのとき日銀の植田和男総裁について、「彼は学者ではなく、政商なんだ」と評していた。森永さんは東大経済学部の宇沢弘文ゼミで森永さんと同期だったので、植田氏の挙動をよく知っていた。植田氏は経済学徒としては取り立てて秀でたわけではなかったが、学生に厳しい宇沢教授をうまく取り入っていて、宇沢教授は植田氏にだけはとても甘かったという。
今回も、植田総裁は「中立金利1~1.25%」なる日銀スタッフの試算を持ち出して、政策金利を段階的に引き上げるとの賜った。2024年3月のマイナス金利解除、7月末の追加利上げでで、内需が停滞し、24年年間の実質経済成長率がマイナスになる情勢なのに、景気には影響しないという机上の金利「中立金利」が存在するというのだから、詭弁もいいところである。
それにしても、やすやすと財務官僚の緊縮財政路線に乗せられて満足している石破茂首相と言い、日本経済は金融、財政ともわざわざデフレ圧力を呼び込む。「楽しい日本」と言いながら、逆に「苦しい日本」をめざすのだが、今に始まったわけではない。1990年代後半の橋本龍太郎政権時代以降、わざわざデフレ政策をとってきたのだ。