… … …(記事全文1,406文字)「タリフマン(関税男)」を自称する米国大統領、ドナルド・トランプ氏はいったい何をめざしているのか、と読者からよく聞かれる。拙論の答えは、自己の欲求(野心)の実現である。野心とは、ビジネス権益、名誉欲、そして彼の考える米国民大多数の利益優先という政治家としての本能が渾然一体となっている。しかも、きれいごとを並べたてながら、国民を裏切る偽善者ではない。民主主義、人権という米国の伝統的価値観をかざしながら権益を追求または、そうした強欲グループに協力する前任者のバイデン、オバマ、クリントンといった指導者ではない。そこが、岩盤支持層に支えられる所以である。
では、著名エコノミストたちはどう反応しているのか。高関税は米国を搾取する対米貿易黒字国から米国民を解放する最有力な手段であり、米国民を富ませるためだ、というトランプ氏のロジックは経済学上では成り立たないのだが、米国経済学界では真っ向から反対して精緻な自由貿易論を展開する学者たちを見かけない。