… … …(記事全文2,284文字)高市早苗政権は11月28日、11・7兆円弱の新規国債発行を含む補正予算案を閣議決定した。この経済対策に対し、有力メディアは財政悪化の恐れを言いはやす。財政主導による日本経済再生の好機が到来していることを無視する愚論である。代表例が補正案決定を受けた翌日の日本経済新聞社説「大型補正で金利上昇・円安は大丈夫か」(下コピー参照)である。現実には21日の総合経済以降、長期金利は上昇が抑制され、円相場も落ち着いているにもかかわらずである。
日経社説見出し11月29日
金利上昇の場面を切り取り報道
高市首相は「責任ある積極財政」を掲げ、12日には、基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB、政策支出と税収の収支)黒字化の単年度目標を複数年度に切り替えると表明した。21日には17・7兆円の財政出動を柱とする総合経済対策を決定した。これに対し有力紙は「黒字化目標の転換は責任なき積極財政だ」(日本経済新聞11日付社説)、「巨額の経済対策 『責任なき積極財政』か」(朝日新聞23日付社説)と論じた。両紙とも市場で長期金利が少しでも上がれば、また、円安に振れると「日本売り」だと騒ぎ立てる。
もとより金融市場は日々の上下変動が当たり前である。28日の補正予算案閣議決定直後の長期国債金利は経済対策発表前の20日をわずかだが下回った。それには目もくれず、積極財政=財政危機への道という固定観念にとらわれ、金利上昇の場面だけを切り取る。そうなら、日本国債や円の投機売買で稼ぐ海外のファンドを呼び込む「オオカミ少年」同然ではないか。


