… … …(記事全文3,066文字)筆者は2010年1月初め、マクロ経済政策の大家である宍戸駿太郎筑波大学名誉教授とともに首相官邸に鳩山由紀夫首相(当時)に会って、100兆円規模の国債を発行して、国家再生ファンドを創設する案を提案した。鳩山氏はそのとき検討を約束したが、菅直人財務相(当時)は「政府債務が増える」として難色を示した。財務官僚の言い分そのものだった。政府債務増大がダメというなら、米国債など外貨資産を徐々に取り崩せばよいだけだが、財務省は拒否反応だった。
ならば、政府保有の米国債などを日銀が買い上げる。日銀は約100兆円の資金を日銀が刷って政府に引き渡す。こうすれば、政府は債務を増やすことなく、100兆円再生ファンドを立ち上げられる。筆者は東日本大震災直後にこの案を産経新聞紙上で提言した。日銀による外国債購入には前例もあり、日銀法上も問題はない。その後、日本経済研究センター理事長の岩田一政氏が、政府の国家戦略会議で日銀資金を50兆円追加発行して、欧州債などの外国公債の買い上げを提案している。規模こそ違うが、狙いは筆者とほぼ同じである。
こうした無理のない日本経済起死回生策の実現を妨げてきたのが、財務省とそれに従う日銀である。
