… … …(記事全文1,568文字)時は13世紀末、イタリアの探検家マルコ・ポーロは日本について、「この国ではいたる所に黄金が見つかるものだから、国人は誰でも莫大な黄金を所有している。(中略)豊富な黄金はかつて一度も国外に持ち出されなかった」(東洋文庫、愛宕松男訳「東方見聞録」2から)。
それから七百数十年後の今、日本から巨額の金(きん)が輸出されている。とっくの昔に金を掘り尽くしたはずの日本が「黄金の国」になったが、きっかけは何と消費税であり、国民は貧しくなる一方だ。
財務省の貿易統計によると、日本の金輸出はことし10月までの12カ月合計で3.6兆円、238トン、輸入はそれぞれ0.14兆円、8.5トンである。金の貿易収支は3.5兆円近くもの黒字である。消費税率は1997年4月に5%、2014年4月8%、19年10月10%へと引き上げられたが、その都度金の輸出が急増している。22年2月のウクライナ戦争勃発後の国際金相場の高騰が重なり、輸出の額、量ともに膨み続けている。


