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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.813:台湾有事=武力併合など起こりえない! なぜそう思うのかというこれだけの理由


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山田順の「週刊:未来地図」                 

No.813 2026/01/06

台湾有事=武力併合など起こりえない!

なぜそう思うのかというこれだけの理由

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  台湾有事が、北京の武力による台湾併合を意味するなら、そんなことは起こりえない。武力を持ちえない併合ならないとは言えないが、いまのところ、その可能性も低い。

 それなのに、高市発言といい、日本のメディアの論調といい、すぐにでも台湾有事が起こることを前提としている。

 しかし、北京、そして中国人民はそこまで愚かだろうか? そんなはずはない。

 *写真・WSJ 

 *本記事の同内容のコラムを「Yahoo!ニュース」に寄稿しました

 [目次]  ─────────────

■中国軍は着々と台湾上陸を準備しているのか?

■台湾有事がありえないと思う主な理由

■先立つ「カネ」がなければ戦争はできない

■台湾上陸作戦には莫大なコストがかかる

■1人っ子を戦場に送るとなれば親が猛反対

■腐敗が止まらない組織は「戦える軍隊」ではない

■「認知戦」か「非軍事的な方法」による併合

■港湾封鎖から中台和平協定の締結に持ち込む

■「中国は崩壊する」は日本だけの特殊な言論

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■中国軍は着々と台湾上陸を準備しているのか?


  今年の元旦、読売新聞は『中国軍、「台湾上陸訓練」に民間船を利用…安価で迅速に調達可能・日米が危機感強める』という記事をトップで載せ、明日にでも台湾上陸作戦が始まるような報道をした。


 その内容は、「読売新聞は、公開されている船舶情報を分析して2024~25年に中国北部・渤海で活動した民間の大型貨物船「RO―RO船」10隻の航跡を調べ、中国軍の演習に参加した可能性を浮き彫りにした」という書き出しで始まり、「RO―RO船」が活発に移動して軍事演習に参加していることを指摘した。


 そして、防衛省関係者は「台湾海峡の波が高い冬季を避けた作戦を念頭に訓練を重ねている」と見ているとし、武居智久・元海上幕僚長の次のようなコメントを載せている。

「桟橋搭載船とRO-RO船の動向は、台湾侵攻に向けた準備の一環だろう」


  中国海軍は、昨年の12月29日と12月30日、台湾の主要港の封鎖や海上目標への攻撃を想定した大規模な軍事演習を実施。軍用機と軍艦、海警船を展開したうえに、実弾射撃なども行った。まさに「台湾海峡、波高し」で、読売記事はこうした情勢に合わせたものと言える。


■台湾有事がありえないと思う主な理由


 ここ数年、北京が台湾を武力持って併合するという「台湾有事」が問題にされ、数限りなく論議されてきた。そして、昨年10月、高市首相の「存立危機事態」発言に中国が反発したことにより、緊張感はいっそう高まった。


 しかし、今回あえて述べたいのは、そんなことはありえないということだ。なぜそう思うのか?


 それは、経済面から見て軍費がまかなえないこと。さらに、軍事作戦にコストがかかり過ぎること。また、人民解放軍にやる気がないこと。さらに、中国国民がそれを望むわけがないからだ。


■先立つ「カネ」がなければ戦争はできない


 まず、中国の軍事行政が具体的にどうなっているかを見ると、これが中央政府ではなくほぼ地方政府がまかなっていることを指摘したい。軍事インフラ、動員能力、兵士の供給などは、みな地方財政に依存している。


 ところが、現在、地方政府は莫大な債務を抱えている。インフラ開発のためにつくった傘下の投資会社の隠れ債務は、一説によると1400兆円に達するという。


 日経新聞の記事『中国の地方債務2900兆円に膨張 25年の債券発行最大、デフレを助長』(2025年12月2日)によると、2025年の地方債発行額は過去最大となり、政府系企業「融資平台」が抱える債務を加えると債務残高は2900兆円にのぼるという。


 戦争は莫大なカネがかかる。先立つ「カネ」がなければ戦争などできない。共産主義を捨て、拝金主義になった中国が、あえて戦争を選ぶだろうか?


■台湾上陸作戦には莫大なコストがかかる


 台湾を武力で併合するには、上陸作戦を敢行せねばならない。その前に、海軍力を行使して台湾海峡を封鎖し、それにもし米軍が参戦して来るようなことがあれば、中国は在日米軍基地およびグアム基地をミサイル攻撃するとともに、日本と台湾の都市もミサイル攻撃しなければならない。


 こうした軍事作戦は、地続きの陸戦と比べると、莫大なコストがかかる。ドローンは安価だが、精密誘導のミサイルとなると1発数億円はかかる。海戦となれば、1隻数千億円の艦艇を瞬時に失う可能性がある。航空戦も同様、戦闘機は1機100億円以上する。

 こんなカネをドブに捨てるようなことを、中国がやるとは思えない。

 

 戦争コストは直接のコストだけではない。開戦すれば、経済制裁が開始され、外貨準備および海外資産は凍結、貿易は停止する。これは、中国経済を直撃する。こうした台湾有事の経済コストをシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)が試算したところ、約1440兆円に上る。GDPへの打撃は約16.7%、台湾は約40%に達する。


■1人っ子を戦場に送るとなれば親が猛反対


 カネはもちろんのこと、人間にも問題がある。軍隊の強さは、兵器や兵士の数だけで決まるのではない。「士気」の強さも大きく影響する。この点、現在の人民解放軍というのは、兵士の士気は極端に低い。

 それは、兵士のほとんどが1人っ子だからだ。

 もともと中国の兵士というのは、歴史的に見ても民族性から見ても、軍隊という組織には不向きである。中国は「我」の国だからだ。

 そのうえに、長らく続いた1人っ子政策で、兵士の約7割は1人っ子で、残りの3割も親が政府に罰金を払って生まれた子供だ。


  となると、彼らが戦死する可能性がある戦争を、なにより親が望むわけがないし、本人も嫌がる。戦争をして戦死者が出るということは、高齢者を支える世代がいなくなることだから、中国の社会福祉は崩壊してしまう。

 もし、本当に武力行使に踏み切ったら、中国国民は猛反対し、さすがの共産党独裁政権も崩壊の危機に陥る。


 これは少子化が進む日本の自衛隊にも言えることで、自衛官のなり手となる若者自体が減少し、もはや戦争ができる軍隊とは言えない。日本、中国ともに、誰も戦争など望んでいないし、士気が弱過ぎて戦いにならない。

… … …(記事全文4,793文字)
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