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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.814:世界は「力こそ正義」の時代に逆戻り! 軍拡がこのまま進むその先になにがあるのか?


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山田順の「週刊:未来地図」                 

No.814 2026/01/13

世界は「力こそ正義」の時代に逆戻り!

軍拡がこのまま進むその先になにがあるのか?

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 アメリカのベネズエラ軍事介入で始まった2026年。ウクライナ戦争、イスラエルによる中東戦争も終わらず、新たにイランに火の手があり、台湾有事もありえるとして、いまや世界中が軍事費を増強し、軍拡に走るようになってしまった。日本も同じだ。アメリカに言われるままに、軍事予算を拡大させている。

 そこで思う。本当にこんなことでいいのか? この軍拡競争はどこまで続くのか? そして、その行き着く先にはなにがあるのか?

[目次]  ──────────────

■ついに始まった日本の軍拡、防衛増税が開始

■国防費を1.6倍に増額し、「夢の軍隊」をつくる

■第1次大戦、第2次大戦後にあった「軍縮」

■トランプは「米露核軍縮合意」の失効を容認

■アメリカ1位、日本10位。世界軍事費ランキング

■軍事費の世界シェアで見えてくる世界とは?

■トランプは戦争と平和にはまったく関心なし

■高市路線は「軍拡」=「武力行使」と捉えられる

■いま日本の軍拡では日本の防衛はできない

■軍拡路線が行き着く先になにがあるのか?

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■ついに始まった日本の軍拡、防衛増税が開始

 

 トランプとその取り巻き、つまり、現在のアメリカの政権中枢の“愚かさ”には、呆れ果てるしかない。彼らは、人類の将来をどう考えているのか? どんな世界を目指しているのか?と思いを馳せるたびに、本当に憂鬱になる。

「トランプ2.0」になって以来、世界は帝国主義的な「力こそ正義」の時代に逆戻りしてしまった。

 

 トランプの「西半球はアメリカの縄張り」(ドンロー主義)政策、「G2」発言は、まさにその象徴だ。要するに軍事大国が世界を仕切り、お互いの縄張りを主張し合う。中小国はその枠組みのなかで、いいように翻弄される。そこには、国際法も正義も存在しない。

 

 よって、どんな国家も、安全保障のために多大なコストを払わなければない。つまり、「大軍拡」時代の到来である。日本も例外ではない。すでに、軍事予算の増強は始まっていて、この4月から「防衛増税」と称して法人税とたばこ税金が引き上げられ、さらに来年1月から所得税も引き上げられる。

 

■国防費を1.6倍に増額し、「夢の軍隊」をつくる

 

 驚くのは、アメリカだ。

 トランプは1月7日、2027会計年度(26年10月~27年9月)の国防予算を1兆5000億ドル(約235兆円)とするように議会に要求した。

 これは2026年度比約1.6倍という途方もない額。そんなに増額してなにをしたのかいうと、「夢の軍隊」をつくるのだという。

 

 トランプはこれまで、次世代ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」の構築や、自身の名を冠した大型「トランプ」戦艦の開発・導入をぶち上げてきた。そのための軍事費の増強であり「トゥルーソーシャル」への寄稿では、「いかなる敵に対してもアメリカの安全や安心を維持する」と訴えた。

 

 しかし、現状で世界ダントツの軍事費(約9000億ドル=約141兆円、世界の軍事費のシェア約36.%)を誇るアメリカが、これ以上、軍事費を増額する必要があるのだろうか。ちなみに、中国の軍事費は約3100億ドル(約48兆円)、日本の軍事費は約9兆円である。

 

■第1次大戦、第2次大戦後にあった「軍縮」

 

 かつて、世界には「軍縮時代」があった。第1次大戦への反省から、列強は互いの軍備を削減しようと、たとえば1922年に結ばれた「ワシントン海軍軍縮条約」などにより、軍事費を削減した。

 

 しかし、1930年代に入ると、大恐慌や国際情勢の悪化から軍縮の流れは後退し、日本が1934年にワシントン海軍軍縮条約を破棄するなどしたため、軍縮時代は終わりを告げた。その結果、共産主義、ファシズムが台頭し、第2次大戦が起こってしまった。

 

 第2次大戦後、再び軍縮が始まった。戦勝国連合である「国連」の大きな目的は、世界の平和と安定であり、そのために軍縮が必要不可欠とされたからだ。

 核兵器ができた以上、その開発競争を続けると、最終的に人類は滅亡してしまう。そのため、軍縮の焦点は核兵器となり、国際間でいくつかの核軍縮協定が結ばれることになった。

 

■トランプは「米露核軍縮合意」の失効を容認

 

 トランプは、「夢の軍隊」をぶち上げた1月7日、NYタイムズのインタビューで、2月に期限が切れる米露間で唯一の核軍縮合意「新戦略兵器削減条約」(新START)について、「失効するなら、そうなるまでだ」と語った。

 そして、失効した場合は「もっとよい協定を結べばいい」と主張し、新たな枠組みに中国を組み込むべきだとも語った。

 

 しかし、この主張はもっともであっても、トランプが本当にそれを望んでいる形跡はない。ロシアのプーチンは、昨年9月、アメリカが同じ措置を取るなら、新STARTが失効した場合でもその後1年間、条約に定められた「数量規制を守る用意がある」と表明したが、トランプは無反応だった。

 

 新STARTが失効してしまえば、米露間はもとより、世界中で核開発はさらに進む。いまや。「核兵器不拡散条約(NPT:核軍縮、不拡散、平和利用の3柱)や「核兵器禁止条約」(TPNW)は形骸化している。

 

■アメリカ1位、日本10位。世界軍事費ランキング

 

 ここで、世界の軍事費ランキング(SIPRI:ストックホルム国際平和研究所発表の2024年のデータ)を見てみると、アメリカが圧倒的な1位で、中国が2位、ロシアが3位となっている。以下がトップ10で、日本は10位、G7では最下位だ。

 

 1位:アメリカ(圧倒的1位)、2位:中国、3位:ロシア、4位:インド 5位;サウジアラビア、6位:イギリス、7位:ドイツ、8位:フランス、9位:韓国、10位:日本

 

 2024年の世界の軍事費は、増加率・金額ともに冷戦後最大を記録。前年比で実質9.4%増加し、金額で計2兆7182億ドルとなっている。軍事費の増加率を見ると、いちばん高いのがイスラエルの64.6%、次いでロシアの37.8%、ポーランドの30.9%、ドイツの28.3%で、日本は21.2%の5番目である。

 

… … …(記事全文5,376文字)
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