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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.817:貧困ラインはなんと14万ドル(約2170万円)。大学授業料に見る豊かではないアメリカ


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山田順の「週刊:未来地図」                 

No.817 2026/02/03

貧困ラインはなんと14万ドル(約2170万円)

大学授業料に見る豊かではないアメリカ

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 最近、アメリカ発のニュースで衝撃を受けたのは、イェール大学までが世帯年収20万ドル未満家庭の新入生の授業料を免除することに踏み切ったという報道だ。20万ドルといえば、日本円にしたら3000万円を超える。

 アメリカの名門私立大学では、貧困家庭出身者への学費免除は普通に行われているが、そのラインが20万ドルとは驚きである。

 また、別の報道では、アメリカの家庭の貧困ラインは年間14万ドル(約2170万円)というのだから、これにも驚く。

 かつてアメリカ留学を夢見たが、資金の余裕がなくて行けず、1人娘をやっとのことで留学させた親としては、いったいどうなっているのかと言いたくなる。2170万円未満が貧困なら、日本との格差は計り知れない。

[目次]  ──────────────

■年収20万ドル未満家庭の学生の学費を免除

■イェールだけではない、名門私立は学費免除が当たり前

■以前は6万ドル、いまは14万ドルで授業料免除

■授業料免除は、例外を除き留学生は受けられない

■一般中流家庭にとってアメリカ留学は夢物語

■4人家族の生活には最低13万6500ドル必要

■公式の貧困ライン3万1200ドルは非現実的

■日本の貧困ラインは4人世帯で250万円〜300万円

■アメリカはいま「K字型経済」が進行中

■「暑い国になった」は、トランプの自慢話

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■年収20万ドル未満家庭の学生の学費を免除

 

  1月28日の「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)の記事が伝えるところでは、とうとうイェール大学まで、世帯年収20万ドル(約3100万円)未満の家庭の新入生の学費を免除することになったという。この制度は、今年度9月入学の新入生から適応される。

 

 もちろん、諸費用(寮費、食費、書籍代など)は自己負担だが、授業料は7万2500ドル(約1160万円)もするので、この措置は優秀だが金銭的に大学進学ができない学生にとっては、大きな恩恵をもたらす。イェールの学生の年間にかかる費用は、授業料+諸費用で約9万8000ドル(約1520万円)という。

 

 現在、イェールの学部生(アンダーグラジュエイト)は約6800人。このうち、約1000人が学費を免除されており、全学部生の56%はなんらかの援助(奨学金など)を受けているという。

 WSJ記事は、このようなことが可能なのは、大学の基金(Endowment:エンダウメント)が昨年11%増加し440億ドル(6兆8200億円)に達したからだとしている。

 

■イェールだけではない、名門私立は学費免除が当たり前

 

 学費を払うのが困難と思える優秀な学生に対して学費を免除する。こうした制度は、いまや多くの名門私立大学で一般化している。その背景には、止まることを知らない学費の高騰がある。

 年収が20万ドル未満の家庭の学生への授業料免除は、イェールが加わったことによりアイビーリーグ全校で実施されることになった。

 

 MITも昨年、アイビー各校と同じように年収20万ドル未満に踏み切った。それまでは、年収14万ドル(2170万円)だったものを引き上げた。

 年収10万ドル(約1550万円)未満だと、授業料だけではなく寮費、食費、教科書代なども免除となり、給付金も支給される。

 

■以前は6万ドル、いまは14万ドルで授業料免除

 

 このMITの免除制度は、ハーバードとほぼ同じである。ハーバードの場合、20万ドルで授業料免除は同じだが、

8万5000ドル未満で、生活費などを含めて全額免除となっている。

 

 スタンフォード、テキサス、シカゴ、デュークなどの名門私立も、上限額は異なるが、同様の制度を実施している。

 かつて授業料免除は、どの大学も年収6万ドル(約930万円)未満だったが、それがどんどん引き上げられ、いまでは、ほぼどこも14万ドル未満になっている。

 

「USニュース&ワールド・リポート」によると、2024年度の私立大学費の平均は4万6700ドル(約720万円)。調査団体の「教育データ・イニシアチブ」によると、全米の大学生のうち、なんと87.3%がなんらかのスカラーシップ(奨学金、学生ローン含む)を利用し、その比率は増加し続けている。

  つまり、私立大学がほとんどのアメリカの大学の学費は、

一般家庭ではとても賄えないのである。学生ローンの返済に苦しむ学生を見かねて、かつてバイデン政権は「学生ローン返済免除措置を実施したが、インフレ亢進で効果が薄れてしまった。

 

■授業料免除は、例外を除き留学生は受けられない

 

 アイビー各大学やMITがこうした制度を実施できるのは、寄付金をもとにした基金が潤沢にあるからだ。その規模は、日本の大学とは比べものにならない。

 前記したように、イェールは440億ドル、MITは245億ドルである。

 

 ただし、こうした授業料免除制度は、一部の例外を除いて留学生の場合は適応されない。学業優秀なら、留学生でも適用されるスカラーショップ(奨学金)をもらうしかない。しかし、一般の入学レベルならば、全額、支払わなければならない。

 

 私の娘がアメリカの大学に留学したのは、2001年。あの同時多発テロの年で、アイビーには通らなかったため、合格したなかの一つ、東部メイン州のリベラルアーツカレッジのベイツに行った。その後、グラジェエイト(大学院)はジョンズホプキンズに進学し、計6年間の留学生活を送った。

 

… … …(記事全文5,907文字)
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