… … …(記事全文3,346文字)
━━━━━━━━━━━━━━━━━
山田順の「週刊:未来地図」
No.818 2026/02/10
トランプが知らない「ペレポネス戦争」の教訓
アメリカはアテネと同じ道をたどる!
━━━━━━━━━━━━━━━━━
アテネ(アテナイ)とスパルタが争った古代ギリシアの時代。その時代と、トランプが横暴を繰り返すいまの時代がソックリだと言ったら、驚くだろうか。
このことは、いまや一部の欧米メディアや政治アナリストの共通認識になりつつある。ペロポネソス戦争を引き起こしたのは、アテネが「アテネ・ファースト」で力の外交に転じ、同盟を庇護より搾取の手段に変えたからとされる。まさに、いま、トランプ・アメリカがやっていることと同じではなかろうか。
高市自民が選挙で圧勝したいま、この歴史の教訓は本当に貴重である。
写真©️Assassins Creed Odyssey
[目次] ─────────────────────
■トゥキディデスの罠」にハマった古代ギリシア
■同盟の名を借りたアテネの他ポリスの搾取
■アテネの敗因は同盟を自ら壊したこと
■高市「国賓待遇」訪米でトランプのATMに
■「よき時代は終わった」「過去は戻ってこない」
─────────────────────────
■トゥキディデスの罠」にハマった古代ギリシア
一部の欧米メディア、政治アナリストは、トランプの「アメリカ・ファースト」による国際法無視、力による政治は、古代ギリシアでペロポネソス戦争(Peloponnesian War:紀元前431年〜404年)を引き起こしたアテネ(アテナイ)の行動と類似していると指摘している。
この論説の元をたどると、ハーバード大学のグレアム・アリソン教授が、米中対立を分析するに当たって「トゥキディデスの罠」(Thucydides Trap)」を持ち出したことに行き着く。「トゥキディデスの罠」(トゥキディデスは古代ギリシアの歴史家)とは、覇権国と覇権挑戦国の間で起こる疑心暗鬼が、最終的に戦争を引き起こしてしまうという歴史の教訓だ。
古代ギリシアでは、既存の覇権国スパルタと新興勢力(覇権挑戦国)のアテネの間で、どちらも望まなかったペロポネソス戦争が起きた。現代世界では、覇権国アメリカが中国の挑戦を受けているが、古代ギリシアでは挑戦国アテネの行動が、いまのアメリカと類似しているという。
■同盟の名を借りたアテネの他ポリスの搾取
現代の民主政治とは違うが、古代ギリシアでも民主政治が行われていた。そして、ポリス同士は同盟で結ばれていた。その同盟、「テロス同盟」の盟主は、アテネであった。
テロス同盟は、 紀元前500年から前449年にいたる約50年間に4回にわたって行われたペルシア戦争により、ペルシアの脅威に対抗するために結ばれた。
ポリスは軍資金、海軍兵力を出し合い、その金庫をデロス島に置いた(だから、デロス同盟と呼ぶ)。しかし、次第にアテネが資金を流用して、他のポリスを支配するようになった。要するに、同盟は他のポリスを搾取する手段となったのである。
前454年に金庫がアテネに移り、アテナの支配が強まると、同盟から離反するポリスが現れた。いち早く離反を図ったナクソス島は武力で鎮圧され、同じくタソス島も武力鎮圧されて制裁金が科された。まさに、アテネの力による政治が始まったのだ。
反抗するポリスはアテネ軍に蹂躙され、男は皆殺し、女子供は奴隷として売り飛ばされた。
