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山田順の「週刊:未来地図」 ― 日本は、世界は、今後どうなっていくのでしょうか? 主に経済面から日々の出来事を最新情報を元に的確に分析し、未来を見据えます。

山田順(ジャーナリスト・作家)

山田順

山田順の「週刊:未来地図」No.842:トヨタとともに沈むのか日本!いまがピーク、今後BEV軽視のツケが回る


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山田順の「週刊:未来地図」                 

No.842 2026/07/21

トヨタとともに沈むのか日本!

いまがピーク、今後BEV軽視のツケが回る

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 2026年3月期の連結決算で売上収益が前期比5.5%増の50兆6849億円となり、「日本企業として初めて50兆円の大台を突破」と華々しく報道されたトヨタ。しかし、世界の自動車市場を見ると、今後のトヨタに伸び代はない。BEV開発・製造の遅れのツケが回って、業績が大きく落ち込むのは間違いないからだ。

 自動車産業は最後に残った日本経済の大黒柱。これを失えば、日本の落日は確実だ。

 写真:トヨタのBEV「bZ4X Touring」

[目次]  ─────────────────────

■北米、欧州以外の市場がトヨタの運命を決める

■日本企業として初めて50兆円の大台を突破

■中国市場の上半期(1〜6月)は前年比17.1%減

■圧倒的に強いタイ、オーストラリアでの苦戦

■誰も想像できなかったフォルクスワーゲンの凋落

■中国市場を軽視しBEV投資に失敗したホンダ

■中国BEVは低価格、低性能という大いなる誤解

■2035年、走っているクルマの半数がBEVになる

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■北米、欧州以外の市場がトヨタの運命を決める

 

 私は自動車そのものにはそれほど関心がない。しかし、自動車産業は日本の中核産業であるから、経済、ビジネスの面からは大きな関心を持っている。

 そこで、はっきり言いたいが、いまのままのトヨタでは、将来が危うい。

 

 ところが、日本のメディアでトヨタが危機に陥るであろうということを正面から取り上げたところは、ほとんどない。そればかりか、いまだにトヨタの「全方位戦略」を礼賛し続けている。驚くべき怠慢さだ。

 

 トヨタが危機に陥るであろうことは、北米と欧州市場以外の市場を見れば予測できる。とくに中国市場が、トヨタばかりか世界の自動車メーカーの運命を決める。これは、

フォルクスワーゲンとホンダの惨状を見ればわかる。

 ただ、そのことを述べる前に、トヨタの現在の実績から見ていきたい。

 

■日本企業として初めて50兆円の大台を突破

 

 トヨタに関しての最近の報道で特筆すべきなのは、2026年3月期の連結決算で売上収益が前期比5.5%増の50兆6849億円となり、日本企業として初めて50兆円の大台を突破したことだろう。グループ全体での販売台数も、これで6年連続首位である。

 

 こんな報道を見れば、トヨタが危機に陥るなど、信じられないかもしれない。しかし、トヨタが好調なのは、北米市場と欧州市場だけである。

 以下、この2つ市場の最新状況をまとめてみる。

 

[北米市場]

 今年1〜6月のアメリカでの新車販売数の累計は、124万3391 台。これは前年同期比0.5%増、シェアは15.7%増。北米全体での新車販売数では 前年比7.3%増を記録。

 人気なのは「RAV4」や「カムリ」。ピックアップトラックの「タコマ」「タンドラ」も人気で、よく売れている。

 このように、トランプ関税にも関わらず、北米が好調なのは、HEV(ハイブリッド車)が市場全体を牽引したからである。

  

[欧州市場]

  2025年は販売台数が前年比1.0%増の過去最高となる122万9038台を記録。今年は、第1四半期が31万8103台と前年同期比0.9%減とわずかに減ったものの、北米と同じくHEVの安定した販売が全体を牽引している。

 ちなみに、電動車(BEV、HEV、PHEV:プラグインハイブリッド車)の全体に占める比率は86%。人気車種は、現地生産の主力でもある「ヤリス」と「ヤリス・クロス」。

 

 このように、北米、欧州は好調だが、これが中国となると、ガラリと変わる。

 

■中国市場の上半期(1〜6月)は前年比17.1%減

 

 販売台数で世界一となった中国の自動車市場は、世界でもっとも進んだ市場と言える。NEV(新エネルギー車:BEV、PHEV、FCVを合わせたカテゴリー)へのシフトが猛スピードで進んでいるからだ。もはや、ガソリン車の出番はない。

 このシフトチェンジの波をモロに被っているのが日本勢で、一昨年来、トヨタは販売台数を大きく減らしている。

 

 今年の上半期2026年(1〜6月)の最新データを見ると、販売台数は 69万4700台。前年同期比で、なんと17.1%減。販売減は止まらず、このままでは今年通年では、もっと減らすのは間違いない。

 

 中国市場でトヨタがここまで落ち込んだ原因は、BEV化やAI技術導入に立ち遅れたからである。これにBYD(比亜迪)などの中国勢の激烈な値下げ競争が加わり、従来のエンジン車やHEV中心のラインナップでは勝てなくなってしまったからだ。

 

 ちなみに、中国の新車販売におけるBEVのシェアは約35〜40%。PHEVなどを加えたNEV全体としては、すでに50%を超えており、現在売れている新車の2台に1台以上がNEVという状況だ。

 この中国市場の変化は、いずれ全世界に及ぶ。

 

… … …(記事全文5,929文字)
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